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3日後に、舞踏会が開かれる。そこで、ヴィオラは正式にレナードの婚約者としてお披露目される予定だ。
「愉しみだね、ヴィオラ。お披露目が済んだら、直ぐに式を挙げよう。そうしたら、僕達は晴れて夫婦となり、君は王太子妃だよ」
嬉々としてそう話すレナードは、相変わらずヴィオラを自身の膝の上に乗せ抱っこしている。
レナードはヴィオラの頬に手を遣ると、自分へと顔を向かせ、唇を重ねた。
「ヴィオラ……」
「んっ……」
以前に比べ、レナードから口付けされる事が増えた。そして、それはどんどん深く長く、なっていく……。解放される頃には息も絶え絶えに、体力のないヴィオラはぐったりとしてしまう。
「はぁ……君はどうして、そんなに愛らしいんだろう。式を挙げるまでは、我慢するって決めてるけど」
今すぐ君と1つになりたい、我慢出来ない、そう耳元で囁かれヴィオラは身体を震わす。だが、ヴィオラの身体はレナードに確り押さえられており、身を捩る事すら許されない。
「レナード、さま……やめて」
レナードは、ヴィオラを抱き上げるとベッドまで運んだ。そして、ヴィオラを寝かせるとその上に覆い被さった。
「ヴィオラ、君がいけないんだよ……君が可愛くて、可愛くて……我慢するつもりが、出来なくなっちゃったんだ。順番は変わるけど、それは些細な事に過ぎない……大丈夫、痛くしないから。優しく、いっぱい僕が君の全てを余す所なく、愛してあげるから……ね?」
妖艶に笑みを浮かべ、舌舐めずりをする。そして、レナードがドレスに手を掛け、胸元を露にしようとした瞬間。
コンコンッ。
部屋の扉が叩かれた。だがレナードは無視を決め込み、続きをしようとする。だが、再度扉は叩かれる。
レナードは苛っとしながらも、ヴィオラの上から退くと、扉を開けた。
「何⁈今忙しいんだけど」
「も、申し訳ございません!しかしながら、陛下が殿下をお呼びでして……その」
レナードの事が怖いのか、従者は口籠る。レナードは、苛々としつつも、ヴィオラに「邪魔が入っちゃったね。続きはまた今度」そう言って部屋を出て行った。レナードが部屋から出て行き、ヴィオラは安堵の息を吐いた。
怖かった。口付けされるのも、本当は辛い。だが、ベッドに押し倒された瞬間、言い知れぬ恐怖に襲われた。
そして、何故だろう……あの人の顔が浮かんだ。もう、忘れなくちゃと何度も思ったのに。もう、思い出さないと決めたのに。
私は、レナード様のモノなのだ。他の誰かを思うなど許されない。身も心も、レナード様に捧げなくては、ならない。でも、私の中からあの人が、消えてくれない。
だから、辛くなる。
「……テオドール、様」
ヴィオラは、枕に顔を埋めた。