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ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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防音室の空気は、サーバーラックから吐き出される無機質な排熱の匂いと、深夜特有の重苦しい静寂に満ちていた。
トリプルモニターの中央では、セブンが数日間にわたって組み上げてきた新型エクスプロイトのコンパイルログが、滝のような速度でスクロールしている。
それは既存のあらゆる暗号化プロトコルを無効化し、仮想世界の牙城を内側から崩壊させるための、冷徹で完璧な「凶器」の設計図だった。
セブンの両手は、機械的な正確さでキーボードの上を踊っていた。
寸分の狂いも、一文字のタイプミスも許されない極限の終盤戦。
あと十数分で、世界を暗転させるための新たな舞台が完成するはずだった。
だが、その凍てついたロジックの連続を破るように、デスクの下の暗闇から、場違いなほどに甘く、熱い気配が這い上がってきた。
「……ねえ、セブン。僕を置いてきぼりにしてそんな玩具に夢中なんて、ひどいじゃないか」
潜り込んでいたデスクの下から、Noliの低く 掠れた声が響く。
それは「退屈しのぎ」というには、あまりにも 悪意と色香に満ちた聲音だった。
次の瞬間、セブンの下腹部に、細く冷たい指先が直接触れた。
Noliの指は躊躇なく、ズボンの服列の隙間から、熱を帯び始めた肌の奥へと侵入していく。
衣服の繊維を擦り抜けて、ダイレクトに伝わる 異質な体温の質量。
その指先が、セブンの最も 敏感な部分を なぞり、弄び始めた。
「ッ……!」
セブンの喉から、押し殺したような短い呼気が漏れた。
キーボードを叩く指先が、目に見えて微かに 震える。
ディスプレイの端に、これまで一枚も出ることのなかった 赤い警告がぽつり、ぽつりと並び始めた。
タイピングの規則的なリズムが 完全に乱され、脳の処理能力の半分以上が、下半身から 突き上げてくる暴力的な快感によって 強制的にジャックされていく。
「ハハ……分かりやすいね、セブン。君の完璧なコードが、僕の指先ひとつで どんどん歪んでいくよ」
デスクの下から見上げるNoliの瞳は、ディスプレイの青白い光を反射して、まるで飢えた獣のように妖しく 爛々と輝いていた。
セブンが世界の破滅に集中すればするほど、Noliはその世界の中心にいるセブンを、自らの肉体という名の 脆弱性で 狂わせたくて仕方がなかったのだ。
Noliの指先が、じわりと 滲み出た熱を 絡め取るように、さらに 執拗に、 速度を上げてセブンを 追い詰めていく。
「く、そ……っ、Noli……手を、離せ……ッ」
「嫌だね。僕のステージの主役は君だけど、君を 動かすプログラムは、僕が握っているんだから」
締め切った部屋の熱気が、一気に限界値を超えて上昇していくような 錯覚に陥る。
セブンの脳内では、未完成のシステムコードと、脳髄を 直接焼き焦がすような 感覚が激しく衝突し、ショート寸前になっていた。
あと数分。あと数分でシステムは完成する。
だが、その数分が、 永遠の地獄のように 遠く感じられた。
バグの修正を 試みるキーを叩くたび、下腹部を 執拗に 弄るNoliの舌と指先が、セブンの 最後の理性の防壁を じりじりと 削り取っていく。
「ん……ぁ、あ、セブン……っ、もっと、熱くなってよ……ッ」
デスクの下から漏れ出る、Noliの 満足げな、そして 自らも 欲情に 濡れた喘ぎ声。
それが、セブンの 胸の奥に燻っていた 凶暴な衝動の 引き金を、完全に引き絞った。
「――いい加減にしろ」
システムが 完成する、まさに数分前のことだった。
セブンはタイピングを 完全に停止すると、デスクの下へと 手を伸ばし、Noliの 乱れた髪を 掴んで 強引に 引き上げた。
「うっ……!」
短い悲鳴を あげるNoliの 身体を、セブンは 獣のような 腕力で デスクの上へと 押し倒した。
並べられた周辺機器や ノートPCが 派手な音を立てて 弾け飛び、床へと 転がり落ちる。
しかし、そんなノイズは今の二人にとっては 存在しないも同然だった。
セブンは 仰向けになったNoliの 顎を 乱暴に 掴み上げ、その唇へと 猛烈な勢いで 喰らいついた。
言葉を 挟む隙すら 与えない、 暴力的なまでの 口内蹂躙。
セブンの 激しい舌が、Noliの 口内の 粘膜を 舐め回し、 抉るように その奥の熱を 貪り尽くす。
Noliの 歯が セブンの 唇を 割り、 鉄錆の味が 二人の 間に 広がったが、それは 二人の 狂気を さらに 沸騰させるだけの 薪に過ぎなかった。
「んむ……ッ! ん、んぅ……、あ、は、セブ……ン、ん、ぁ……っ!」
手荒な 蹂躙に、Noliは 酸素を 奪われ、 胸を 激しく 上下させて 悶えた。
デスクの下で見せていた 傲慢な笑みは 完全に 掻き消え、 今や セブンの 圧倒的な 支配の前に、 涙目で 組み敷かれるだけになっていた。
掴まれた 髪に じわじわと 力を込められ、 頭皮に 走る痛みが、 かえって Noliの 腰を 淫らに 震わせる。
セブンの 空いた大きな手が、Noliの 衣服を 容赦なく 引き裂き、 汗ばんだ 白い肌へと 指先を 突き立てた。
背後の モニターでは、 主人を 失った エクスプロイトが、 自動処理の 最終シークエンスへと 向かって 1秒ごとに カウントダウンを 刻み続けている。
世界を 恐怖に 陥れる システムが 完成を 迎える その直前。
二人の ハッカーは デスクの上という 最も 排他的な ステージの上で、 互いの 呼吸を、熱量を、 限界まで 貪り、 壊し合っていた。