テラーノベル
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その男は、二人が共有する暗闇の領域において、あまりにも浅はかで致命的な一線を踏み越えた。
裏切り者のハッカー――かつては二人の周辺で小賢しく情報のおこぼれを狙っていたその男が、保身と大金のためにセブンとNoliのIPアドレスや潜伏先のログをサイバー警察に売り渡そうと画策していることが発覚したのだ。
だが、セブンが構築した鉄壁の監視ネットワーク「c00lgui」の防壁は、男の不穏な動きをミリ秒単位で察知していた。
「滑稽だね、セブン。あんな下劣な観客席のゴミが、僕たちの楽屋を汚そうとしてたなんて」
部屋の片隅でソファに深く腰掛けたNoliは、冷えたグラスを指先で弄びながら、冷笑した。
その瞳には、かつて見たこともない冷酷な殺意と、それ以上に強い「舞台を荒らされた者」の狂気が宿っている。
「安心しろ、Noli。あいつの端末はすべて俺の支配下にある。今から、劇的な幕引きを見せてやる」
デスクに向かったセブンの指先が、冷徹なリズムでキーボードを叩く。
セブンが開発した特製のエクスプロイトコードが、男が所有するPC、スマートフォン、果ては部屋のスマート家電に至るまで、すべてのシステムを遠隔操作で完全ロックしていく。
画面の隅に配置された隠しウェブカメラのフィードには、突如として操作権を失い、パニックに陥ってキーボードを乱打する男の、醜く歪んだ顔がリアルタイムで映し出されていた。
「さあ、Noli。お前の大好きな演出の時間だ」
セブンがキーを一つ叩くと、男のPC画面のすべてのインジケーターが真っ赤に染まり、中央に太く、血を滴らせたようなフォントで一列の文字列が浮かび上がった。
『Your show is over.』
画面の向こうで、男は絶望に顔を青ざめて椅子から転げ落ちた。
自分がどのような怪物を怒らせたのか、その瞬間になってようやく理解したのだ。
己の喉元に、すでに逃れられない死の刃が突き立てられている恐怖。
男が恐怖のあまり涙を流し、カメラに向かって命乞いをするように両手を合わせる様子を、Noliはうっとりとした表情で見つめていた。
「いいね、セブン……! あんなにも醜い生き物が、僕たちの演出ひとつで、これほど美しい絶望のオブジェに変わるなんて」
Noliはソファから立ち上がると、吸い寄せられるようにセブンの背後へと歩み寄った。
そして、デスクに向かったままのセブンの首筋に、その両腕を絡ませる。
Noliの身体は、画面越しの悪意と興奮によって、微かに、しかし熱く震えていた。
「ねえ、セブン。あんなゴミの命乞いなんて、もう飽きちゃったよ。それよりも……もっとゾクゾクするような、僕たちだけの特別な儀式をしよう?」
Noliはセブンの耳たぶを軽く噛みちぎるように嗜み、その熱い舌先でなぞった。
セブンは静かにため息をつき、モニターから視線を外して後ろを振り向く。
そこには、完全に理性を溶かし、欲望のままに濡れた瞳をした相棒の顔があった。
「ここでか? Noli」
「そうさ。あの哀れな密告者の目の前で、僕たちがどれだけ深く繋がっているかを見せつけてあげるんだ。最高の処刑だと思わない?」
セブンは答えを返す代わりに、Noliの腰を強引に抱き寄せ、デスクの上に仰向けに押し倒した。
キーボードや周辺機器がガタガタと音を立てて散らばり、いくつかのコードが床に落ちる。
しかし、二人はそんなことを気にする余裕すらなかった。
男の絶望が映し出されたトリプルモニターの放つ、禍々しい赤と青の光が、重なり合う二人の肉体を淫らに照らし出す。
「ん……っ、は、セブン……もっと、強く……っ」
Noliはセブンの首にきつくしがみつき、自ら衣服をはだけさせてその胸元を晒した。
セブンはNoliの滑らかな肌に容赦なく指先を沈め、その肉体を蹂躙するように愛撫していく。
重ねられた唇は、鉄錆の味と、互いの存在を狂おしいほどに求め合う熱情で満たされていた。
画面の向こうでは、いまだに裏切り者の男が、カメラの向こうで起きている「神々の情事」の気配(端末の不気味な明滅や、スピーカーから漏れる微かな吐息)に怯え、震え続けている。
彼らにとって、世界を恐怖に陥れるハッキングも、互いの身体を貪り合うこの行為も、すべては同じ地平にある「快楽」だった。
画面の向こうの絶望を極上のBGMにしながら、セブンはNoliの奥深くへと自身を突き入れ、Noliは歓喜の悲鳴をあげてその首筋に爪を立てた。
どんな媚薬よりも二人を狂わせる背徳感の中で、二人のハッカーは、自らが築き上げた最悪のステージの頂点で、どこまでも深く、 痺れるような快楽の淵へと堕ちていった。
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