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裏梅の冷徹な表情が一瞬、歪んだ。氷の刃を発動し続ける彼女の姿は、まるで戦場の氷の女王のように見えた。しかし、その瞳に微かな不安が宿る。自らの力を最大限に引き出し、童磨に挑んでいたが、その力の限界が見え始めていた。
「――な、何?」裏梅は目を見開いた。自分の力を放ちながらも、何かが違う。彼女が放つ氷の攻撃が、空気を裂く速度で迫る中、童磨の姿が一瞬で消えた。
その瞬間、背後から冷たい風を感じ、振り向く間もなく、童磨の手が背中に突き刺さった。裏梅の体が一瞬で硬直し、氷のように冷たい瞳が大きく見開かれる。
「裏梅……お前、いい加減にしろ。」童磨の冷徹な声が、裏梅の耳元で響いた。彼女の体が、無数の氷の刃の中で崩れそうになるのを感じ取ると、裏梅は力を振り絞り、かろうじてその攻撃を回避しようとしたが、すでに遅かった。
「だ、だって……」裏梅は力なくつぶやく。目の前で広がるのは、無数の氷と氷の間を縫うように飛び交う狂気的な力。それが彼女の体に浸透してきているのを感じ取った。最期を覚悟した瞬間、目の前に広がるのは自らが生み出した氷の世界。
「お前は……私の力を見誤った。」裏梅の口から、血の滲んだ言葉が漏れた。そのまま、彼女の体はふらりと崩れ落ちた。
その瞬間、童磨は冷たく笑った。「お前の力は確かに素晴らしいが、私の力には及ばない。遊び相手としては楽しませてもらったよ。」
裏梅が倒れた場所には、かつての冷徹な戦士の姿はもう無かった。彼女が操った氷の刃も、もはや動くことはなく、その力を失って静寂が訪れた。
童磨はそのまま裏梅の冷たくなった体を無視して、足元に転がる氷の破片を見下ろした。その表情には、ほんの少しの哀れみのようなものが浮かんでいたが、それはすぐに消え去り、再び彼の冷酷な笑みに変わった。
「面白かったが、私の遊びはここまでだ。」童磨はその場を後にし、次なる戦いへと歩みを進めた。