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やばい、部活で遅くなってしまった。


やばいやばいと呟きながら、由佳は急いで靴を履く。

急ぎすぎるあまり中々靴を履けず、ようやく成功した途端に校舎から出ようとしたのだが、目の前は土砂降りの雨で行く手が阻まれてしまった。


今度は傘、傘と鞄を漁る。

こんなこともあろうかと、私は折り畳み傘を鞄に常備しているのだ!

そう頭の中で叫びながら、ごそごそ漁るが目的のものが出てくる気配がない。

……あれ、あれあれ??え、もしかして


「傘忘れた───!?」


由佳はその場に崩れ落ちた。

なんたる不覚…こんな日に限って忘れてしまうとは……


スマホは持ってきてはいけない。

公衆電話は、…10円も100円もない。


どうしようどうしよう、そうぶつぶつ言いながら頭を抱えていると、後ろから声をかけられた。


「大口さん?」


えっ、と後ろを振り向くと、そこには高身長のイケメンが立っていた。


「は、原口黛司(たいし)!?」


「あ、どうも…」


由佳がつい大声を上げて驚いてしまった彼、原口黛司。

まぁ驚くのも無理はない。

彼は学年で、いや学校で超有名なイケメンだからだ。

さっきの独り言を聞かれてしまっていただろうかという心配は無意味で、黛司は尋ねる。


「傘、無いの?」


入れてあげようか?と言いそうな雰囲気を醸し出しながら。


駄目だ、私なんかが原口くんと相合い傘なんてしてしまったら、学校中の女子の反感を買うに違いない。


由佳は思いっきり「大丈夫ですので」と言うのだが、黛司は下がろうとしなかった。


「いや本当に、お気になさらず」


「僕のせいで風邪引かれたら困るでしょ?」


きゅるるんという効果音が付きそうな目で見つめられ、つい悶えてしまった。


ああ、これ以上彼を困らせるわけにはいかない。

でも誰かに見られたら、私は明日から生きていけなくなるかもしれない。


「いいから、ほら」


そう言い、彼は由佳を引き寄せるように肩を掴んだ──

かと思いきや、彼の手には折り畳み傘が握られていた。


「…え」


「ほら、これ使いなよ、僕は自分の傘あるし。意外と大きいから多分濡れないと思う」


「…あ」


やばい、私変な勘違いしてた?

自分の失態に気付き、由佳はぼふんと顔を赤くする。


「本当にすみませんでした!!!!!」


色々な意味を込めて。

ぽかんとした黛司から傘を奪うように取り、急いで傘を開き由佳は走り出す。


これからどう顔を合わせればいいんだよ…!!


(30分クオリティ)

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