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それは真っ黒な鴉だった。遠い昔あったあの白い鳩とは全く真逆。そのどこか虚ろな目は、見覚えがあった。
「ねぇ、貴方はこの世界が楽しい?」
その鴉が話す。別に話すこと自体に疑問は何も持たなかった。
「それはそれはとても楽しいです。あの遠い昔の自分では考えられないくらいに」
そうゆうとその鴉は何が可笑しいのか、高々と笑い出した。
「ははは。それは愉快だ。お前は選ばれていないというのに?」
「選ばれてない?そんなことない。私は選ばれたんだ、あの少女も言っていたんだ」
私は間違って居ない。でも鴉は笑い続ける。
「何も知らされていないか!まぁでもすぐ分かるさ」
「お前、この世界が楽しいと言ったな?だったらもっとやろう。でも本心では嫌なんでは無いのか?」
「そんなことない。私は….選ばれたんだ!何億人もの命は私に託されている!」
「ああそうかそんな熱々な頭は冷まさないとな」
そう鴉が言うと、世界が崩れ出した。そして私は、あの時と同じ世界に戻った。
「この部屋で新しい惨めな奴を連れてくる。そこの白い鳩をうまーく使って世界に誘え。そしたらまたあの世界に連れていくよ」
ああ、一瞬にして崩れ去った幸せ。私は何も考えられなくなっていた。でもひとつ
早く誘わなきゃ
その考えだけが頭を走り回っていた。私は選ばれたんじゃない。
ただ傲慢な惨めな奴だったんだ