目覚めると見知らぬ景色に包まれていた……
長い間眠りについていたのだろうか。手が痺れ喉が乾く感覚と共に霞む目を頼りに周りを見渡すと白い部屋と黒い複数の物体がコントラストの強さ以上に脳に焼き付く。
俺の周りを囲んでいたのは肌黒マッチョであった。少なくとも10人はいるマッチョらに囲まれながら特に異彩を放つのは3人のマッチョ。
3人マッチョはギャランドゥマッチョ、引き締まり乳首、剛毛腕毛と相当な個性とお揃いの後光が差し込むスキンヘッド。
目と鼻の先にいる三人トリオは鼻息を荒げながら筋肉ルーレットで異世界特典とやらを決めている。
トリオはそれぞれの乳首にガムテープの上に汚い字で特典を書き殴っている。ヤケクソ感と必死感の感じる可愛らしい字でカラフルに彩られている。
ただし異彩を放つ本当の理由は筋肉ルーレットから目線を下ろしたそれぞれの陰部に『エクスカリバー』の文字が金の蛍光色で堂々と書かれているところだ。止まって欲しいが止まって欲しくない。
筋肉ルーレットが段々とペースを落としながら指したのは2人目の右乳首……そこには蛍光色のピンクで『カワイイ戦乙女』とガムテープに書かれていた。
もう俺は意味が分からなかった。ただし1つ隣乳首のプロテインよりも当たりであると感じる。
そうするとマッチョ達は俺に目隠しをつけながらブツブツと話し込んでいる。
もう俺は意味が分からなかった。恐怖に怯え数分間耐えた。視界が眩しくなると同時に目の前には引き締まった手足、弾けるような唇、目の前で優しく微笑むオカマッチョが鎮座していた。
「私の名前はメアリーゴンザレス小林、メアリーって呼んでね!」メアリーはそんな調子で俺に話しかけてくるがどうみても3人トリオの中の1人、剛毛腕毛マッチョである。さらにメアリーは金髪のかつらを初々しく着こなすため先ほどとのギャップでアナフィラキシーを起こしそうだ。
どうせならルーレットで当たった引き締まり乳首マッチョの方が若干声が高いのでそちらがカワイイ戦乙女の名にふさわしいと感じるのだが……
「ちょっと話聞いてるの?」メアリーは腕組をしながら話しかける。分かったから。怖いから半径50cm以内には入らないでくれる?パーソナルスペースだよ。
目まぐるしく見苦しい環境の中で数十分間メアリーが話していた内容をまとめると、この世界には三種の神器と呼ばれるコスメがあるらしい。
メアリーはテンションを荒げながら神器であるコスメを己の為だけに使う四天王がいるらしいことを懇切丁寧に説明する。馬鹿じゃないの?お前計算もできないの?どう考えたって数合わないじゃん。俺の片頭痛が両側を刺激する。
「それじゃ前置きはこれくらいにして早く冒険の準備をして!」いよいよ異世界での冒険が始まることに僅かながらの期待を秘めているところマッチョの1人が再び目隠しを仕掛ける。俺のパーソナルスペースに入り込み視界が無くなる。
異常の連続で脳が麻痺しているところにまたもや鼻息マッチョズが何かしでかしてくれている。視界が晴れ俺はピンクのスカート、『I love Mary』 とプリントされたシャツ、ラメっているカチューシャなど最近の小学生でも引くレベルの女子力を放つオカマが完成した。
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初投稿なんですか? クオリティ高すぎ。 フォローしました。