いつもの道を歩く
なにかが物足りないのはきっと
雲雀が横にいないからで
『……、はぁ…』
また一つ、ため息が溢れた
教室に入り、鞄を下ろす
クラスメイトが意外そうにこちらを見て駆け寄ってきた
「あれ雲雀は?」
当たり前のようにそう言う
『早川先輩と登校してるけど』
「あ、そうなんだ。いっつも一緒にいるから喧嘩したと思ったわ」
「ま、喧嘩してないなら良かった〜」
そう言い、満足したように席に戻っていった。
_______いつも一緒。か
ガラガラ
ドアが開く音ともに、見慣れた紫髪が顔を出した。
「おはよ〜」とクラスメイトに挨拶をしていき、席に着いた。
その瞬間 雲雀の周りに人がどんどんと集まる。
いつもならその周りに僕も行って話す。
が、それとは反対に教室を出た
“ 雲雀を視界に入れないようにする”
それが僕にできるただ一つの行動である
廊下を歩きながら、窓の外を見つめる
キラキラと光る青空は憎らしいほどに綺麗だった
まるで雲雀みたいだ
「_______ッきゃあ!!!」
『っは!?!?!?』
女性の悲鳴に反応するように顔を向けると、今にも階段から落ちそうな生徒がいた。
僕の体は脳が反応するより先に、その生徒を受け止める体制を取る
が、遅かったようで
_______ドン!!
という音と共に盛大にぶつかった
僕を下敷きにするように二人とも倒れる
『ぃ…ったぁ、』
「!?ッ…す、すみません!大丈夫ですか?」
目を開けると、さっきの女子生徒が僕の上にまたがるような形で僕を見つめていた。
綺麗な黒い髪が僕の頬に触れている
とりあえず、上から退かせると、自分の状況が分かったようでみるみる頬を染めた
『僕の方こそすみません。お怪我は?』
「だ、大丈夫で_________ぃた、」
目の前の彼女が痛そうに眉を顰めた、
彼女の足を見ると、痛々しく腫れているあざができていた。
しかも、足を引き摺るようにして立っている
強く足を打ったのだろう
『歩けないですよね、……背中、乗れますか?』
「え、えぇ!?」
ビックリしたように声を上げる。
_この騒動を耳にしたのか、周りに野次馬がどんどんと集まってきた
ザワザワと僕らを見ている
「王子様じゃん」や「お似合いカップルじゃね?」など好き勝手言われている
誤解されてもめんどくさい。
早く保健室に連れていきたいのだけれど、
僕の意志が伝わったのだろう
彼女は小声で「失礼します」と呟いて僕の背中に乗った
思った以上に軽く、簡単に持ち上げられてしまった
その瞬間、周りの野次馬から黄色い歓声が飛ぶ
まったく、見せ物じゃないっての
そんなことを考えながら彼女を保健室に連れていった。
彼女を保健室の先生に預け、保健室を後にする
『それじゃあ、僕はこれで』
「あ、…っちょっと待ってください!」
呼び止められ、後ろを振り向く
「えっと、本当に…ありがとうございました!!」
そう言って勢いよく頭を下げた
その姿がどこか雲雀と重なり、ふっと笑いが溢れる
『…ううん。大丈夫。安静にしてください』
「…ぁ、…あの!これ!」
その瞬間、何かを出してきたかと思えば、お守り?みたいなものを出してきた
香水のような綺麗な小さな瓶のネックレスだ。
『えっと、これは?』
「…お礼です!では!!」
そう言って反対に保健室の扉を閉められた。
_一体、なんなんだ?
変なものではなさそうだけど、貰う気にもなれない。
ポケットに入れ、また歩き出す
次、会った時にちゃんと返そう
教室に戻った瞬間、クラスメイトに囲まれる
興奮したように目を光らせ、質問攻めをされる。本当にウンザリする
「あの子とどんな関係なの!?」
とか、
「付き合ってるの?」
とか、さまざまだ。
付き合ってないっつーの。
適当に返していたら、一人のクラスメイトが意味わからないことを口にした。
「お前、狙われてんぞ」
『………なにが?』
質問の意図が分からず首を傾げると
クラスメイトは面白そうに口角を上げ「なんでもなーい♪」と言い、また質問攻めに戻った。
_______というか、雲雀は?
辺りを見渡すが、それらしい人物は見当たらない。
クラスメイトに「ごめん」と言って席から立ち上がる。
雲雀から離れろ。と言われたのに、僕の体は無意識に雲雀を探しているようだ。
教室から飛び出て、雲雀を探す
_______ひと目見れたら帰ろう
そう思いながら廊下を駆け抜ける
空き教室やトイレを見渡してみるが雲雀はいない。
なにか手伝いでもしてるのだろうか?
ふと、中庭に目を向ける
綺麗な緑を見ていると、僕が探し求めていた彼がそこにいた
『!ひば_______』
そう声をかけようとしたが、自分の口は無意識に言葉を紡ぐのをやめた
ベンチに、早川先輩と座っているのを見たからだ。
別に、あのまま名前を呼んでも良かった。
でも何故だか呼べる雰囲気ではなくて
そのまま二人を遠くから見つめる
会話は聞こえない。
雲雀の雰囲気がいつもとはどこか違くて、
無意識に息を呑んだ
雲雀の目はどこか熱を含んでいた。
あの瞳を、俺 は嫌になる程知っている
______そうか、雲雀は
『…早川先輩が_______』
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!