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零が手にした瓶の中の液体。それが教皇の異能そのものだと知り、狩り手たちは凍りついた。
「どうして…それが君の手に…?」
教皇の声は震え、その瞳には深い怒りと恐怖が宿っていた。
零は肩をすくめ、無邪気に笑う。
「簡単な話さ。君から奪ったんだ。いや、正確には…『渡した』んだよね?」
「渡した…?」
法師が疑念に満ちた顔で教皇を見つめる。
教皇は拳を強く握りしめた。
「その液体…それは、私の異能を封じ込めたものだ。かつて、零を止めるために私は…」
言葉を詰まらせた教皇を見て、渋谷が冷たく言い放つ。
「まさか、異能を犠牲にして奴を封じようとしたってことか?」
教皇は静かに頷いた。
「あの時、彼の力を止めるにはそれしか方法がなかった。」
零は楽しげに笑いながら瓶を軽く振った。液体が揺れるたびに、不気味な光が漏れ出す。
「そうだよ。あの時、君は異能を犠牲にして俺を封じた。でも残念だったね、教皇。俺は封印を破り、君の力を手に入れたんだ。」
「教皇の異能って、どんな力だったんだ?」
港が震える声で尋ねると、教皇は重い口調で答えた。
「私の異能…それは『裁定者(アービター)』。すべての異能を無効化する力だ。」
その言葉に、狩り手全員の顔色が変わった。
「すべての異能を無効化…?それが零の手に渡ったってことかよ!」
南無が叫ぶ。
「その通りさ。」零が口を挟む。「だから、君たちがどんな異能を使おうが無駄だ。俺がすべてを無効化するだけ。」
「…!」
狩り手たち全員が戦慄する中、零は楽しげに笑みを浮かべた。
そのとき、会議室の床が激しく揺れた。零が足元を軽く踏み鳴らしただけで、地震が発生したのだ。
「さあ、見せてやろうか。教皇の異能を手に入れた俺の力を。」
零の目が光り、空間が揺らめいた。渋谷が異能を発動させようとした瞬間、その力が完全に消失した。
「何…だと…?」
渋谷が驚愕の声を上げる。
「これが『裁定者』の力だよ。」零が余裕の笑みを浮かべたまま言う。「君たちの力なんて、俺にとってはおもちゃ以下だ。
「くそっ!」
南無が拳を構え、異能を使わずに零に殴りかかろうとする。しかし、零はその拳を軽々と受け止め、逆に南無を床に叩きつけた。
「無駄だよ、南無君。」零が軽蔑したように言う。「異能がなくても、君たちの力じゃ俺には勝てない。」
「ならば…!」
法師が懐から特殊な武器を取り出し、零に向かって投げつける。しかし、零はその武器を炎の力で焼き尽くした。
「教皇。」零はゆっくりと教皇に歩み寄りながら言う。「君が守りたかったものを、俺はすべて壊す。そのためにここに来たんだ。」