テラーノベル
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(高校生パロ、交際済み)
(sn→pnの愛が重ため)
***
それは交際をする前、片思いをしていた時から感じていた。
その当時は告白する気なんてさらさらなく、ただ”友人”として傍に置いて貰えるだけで良いと、高望みなんてしてるつもりは無かったのだが。
そうなると根っからの性格なのだろうか。太陽みたく弾けた笑顔、それの向けられている先が自分じゃないと産まれるそれ。自身の知らない彼が更新される度溢れるそれ。
明るくて面白くて人望も厚い、そんな彼を「独り占めしたい」だなんて、叶わぬ願いなのではなかろうか。
あぁ、僕はこんなにも器の小さい奴だったんだ、と心底呆れて笑った。
***
「そうだ、ぺいんとさんに渡したい物があったんだった。」
コントローラーを置いて立ち上がり机の引き出しを探る僕を横目に、彼はクエストの作業を続けていた。
恋人関係になってから、前より2人きりで遊ぶ回数がぐんと増えた。今日だってそう。する事はただブラブラと出かけたり、新作のゲームをしたり、それくらいだけれど。
けどそれで良いのだ、彼の時間を独占するというのは非常に贅沢なことなのだから。
引き出しの奥に丁寧に閉まっていた物を取り出し、彼には見えないよう後ろ手に隠す。
「え、なに?食べ物?」
「残念ながら食べ物ではないですね….どんだけ食いしん坊なんですか。」
苦笑いを浮かべつつ、「目瞑って」「後ろ向いて」と指示を出すと素直にそれに従ってくれた。
「失礼しますね」
手に持っていたそれを彼の首に回す。予想外の感覚に驚いたのだろう、少しだけ肩がはねた。苦しくならないよう、かといって緩くなりすぎないように気をつけながら締め、留め具を付ける。
「はい、もう目開けていいですよ。」
「…..なにこれ?」
目を開けた彼は疑問符を頭に浮かべつつ、カメラの内カメを起動した。スマホの中の自分、その首には先程まで無かった物が付けられている。
「…..チョーカー?」
贈り相手は飾りのついてない、シンプルな黒色のそれを指先で撫でた。発した呟きには「なぜチョーカーなんだ?」との疑問が含まれていることだろう。
「この間出かけた時、たまたま見掛けたんです。」
「ぺいんとさんに似合うかな〜って思って。それに、あんまりこういうの買わないですよね?」
それを買った時から考えていた返事をつらつらと並べる。たまたま見掛けたのも、似合いそうだと思ったことも本当である。何一つ嘘はない、けれどそれを覆す程の黒い思惑が腹の底にあった。
彼を繋ぎ止める”何か”が欲しかったのだ。一生隣に居て欲しかったから。
細い首に黒の印がよく映えている。こんな独占欲を持て余した結果の産物を贈ってしまったことを心の中で謝罪した。
愛しい恋人は「そう、ありがと」と呟いて、それを外さずにコントローラーを持ち直した。
***
ちゃんと閉められた第一ボタン、きっちり結ばれたネクタイ。普段は第一ボタンは開ける、ネクタイは緩めのぺいんとだったが、今日は珍しく生徒指導の教師が喜びそうな着こなしをしていた。
「暑くねぇの?」
そう聞いた同級生に「そこそこ暑いけど、まぁやむを得ん事情ってやつ。」とぶっきらぼうに返す。嫉妬深い恋人がその様を見ていたからだ。
放課後、二人は共に帰る為に並んで廊下を歩く。日はまだ高い、白く暑い日差しに照らされつつも、ぺいんとの首元はきっちりと隠されたままだった。
何の話をしていた時だったろうか。絶え間なく続いた会話の流れで、彼が切り出した話に目を見張った。
「….ていうかさ、お前」
「俺が他のやつと話してる時、こっち見すぎな?嫉妬してんの?」
「……え?」
反射的に声が出る。チラチラ彼を横目に見ていたことも、その行動理由が嫉妬からなのもバレていた事に動揺したせいだ。
でも、考えてみればそりゃそうだ。変に勘が鋭く、僕のことをよく理解している彼にとっては、前からお見通しだったのかもしれない。
「そんな事ないですって、も〜ぺいんとさんたら、自意識過剰だな〜….」
「は?ガチで言ってんだけど、自意識過剰なワケあるか」
見なくてもわかる、今僕が貼り付けている笑みは完全に引き攣っている事だろう。引かれるか、呆れられるか、気持ち悪がられるか。怖くて彼の顔を見られなかった。
「あっそ、シラ切り通す感じね?」
ハッキリ発音した彼の言葉がザクリと体に刺さったような気がした。顔から血の気が引いている感覚がする。
「……ね、しにがみ。」
「ねぇってば、お前」
「おい、こっち見ろって!」
もどかしさを含んだ嘆きと共に、不意に手首を取られる。それでもまだ顔を背けたままでいると、わざとらしいため息が聞こえた。
そして、取られた方の手に何かがふれる。
「俺、怒りたいとかじゃないんだって。」
「ただ見てほしいもんがあるだけなんだけど。」
手は僕の目線程の高さに上げられている。
とうに折れていた意地を捨てて、ぺいんとさんの方に顔を向けた。
「ねぇ、ネクタイ、緩めて。」
「それで、この窮屈なボタン外してよ。」
僕の左の掌は、彼の首元に触れていた。彼は普段通りの表情をしていた。今、この廊下には僕たち以外誰も居ない。
「ほら、早く」
「こんな人目に付く場所で?」「誰も居ないとはいえ、もし見られたら」そんな言葉は喉を通らないまま胃の奥に押し込まれた。
手首を覆う彼の手が解かれる。この先は自分でやれ、と言うように。
言われた通り、恐る恐るだが指先を動かした。
シュルリ、固く締められていたネクタイを緩める。
プチッ、閉ざされていた第一ボタンを開ける。
今日一日隠されていた首元、そこにあった物を見て息を飲み込んだ。
恋人はそれを見せ付けるように、自らの手で襟元を広げた。顔いっぱいに余裕そうな笑みを浮かべて。
「これさ、俺を縛るための首輪みたいなもんなんだろ?」
「ちゃんと付けてるからさ、少しは安心しなよ。」
シャツとネクタイの下には、白く細い首を囲むシンプルな黒いチョーカーが隠されていた。
一瞬、彼を繋ぎ止めるそれが首輪に見えて目を瞬かせる。彼のその行動も、表情も、僕の脳を焦がして頭がクラクラとした。
そうだ、彼はそんな男だ。僕に醜い欲をぶつけられて尚、それを受け止めてこんな挑発的に嘲笑うんだ。
「……僕、ぺいんとさんのそういう所が大好きです。」
「うん、知ってる。」
思わず溢れた言葉は端的な返事で片付けられる。でもそれが嫌なわけでもなく、寧ろどことなく幸せを感じるのはおかしい事なのだろうか。
「貴方を独り占めしたい」いつかまたこの願いが溢れ出した時。その時もまた、貴方は余裕そうに笑って受け止めてくれるんじゃないか。
最低な期待をしてしまうほど、眼前の彼はただ太陽のように眩しかった。
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羽咲春
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コメント
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え〜!第3話、最高すぎました…😭💕 しにがみくんの重すぎる愛と、ぺいんとさんの余裕の笑顔のギャップがたまらん! 「首輪みたいなもんなんだろ?」って見抜いてるのに、ちゃんと付けてくれるぺいんとさんかっこよすぎませんか?!独占欲バレバレで照れまくるしにがみくんが尊い…この2人の空気感、永遠に見ていたいです🥺💖