テラーノベル
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「おかえり、遅かったね」
深夜3時を過ぎた頃、眠気眼を擦りながら俺は彼を労った。彼はそんな俺を見て少し申し訳なさそうにした後笑って
「ただいま。ごめん、起こした?」
彼の言葉に対して、俺は緩く首を振った。ご飯は冷蔵庫にあるからチンして食べて。なんて伝えたあと、お風呂はシャワーでいいかと問いかけた。彼はそれに頷き、いつもありがとうと笑った後嬉しそうにご飯を取りにキッチンへ向かった。幸せだ。彼も俺も有難いことにとても忙しくしている。そんな中でもこうやって俺に笑いかけてくれることが嬉しい。嬉しいのに…どうしても気になってしまう。
…今日の撮影は、20時までじゃなかったの?今日出会ったスタッフさんからもマネージャーさんからもそう聞いたけど、今までどこにいたの?ほんとに仕事?ねぇ、なんで勇斗から
…女物の香水の匂いがするの?
全部全部気になるのに、聞いたら全てが終わってしまう気がして俺は目を瞑る。なにも見てない。なにも気づいてない。そうすればこの幸せな日常がきっと続くはずだから。
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それから数日経った。勇斗はやっぱりいつも帰りが遅い。ここ最近なんて帰ってこない日すらある。そしてそんな時に限って明日から勇斗は北海道に撮影に行く。1週間家を空けるらしい。本当は寂しいって言いたかった。行かないでって。だけど言えない。仕事の邪魔は出来ない。だから今日も良い恋人を…演じなきゃ。そんなふうに思っていた時、勇斗が俺に声をかけてきた。
「1週間も会えなくてごめんな?もうまじ帰ってきたらすぐ家戻るから!」
…いつも帰ってこないくせに何を言ってるの?なんて言えるはずもなく、俺は笑って答えた。
「そんなすぐ帰ってこなくていいからちゃんと仕事してこい」
「もー、仁人だって寂しいくせにー。ツンデレめ。」
「うるさい。早く行け。遅れるぞ」
「はいはい、わかったよ。行ってくる。じゃあね。」
「行ってらっしゃい」
扉が閉まり、俺は1人になった。今日はラジオ以外に仕事はないから今からは特にやることがない。なんで今日に限って予定が何もないんだか…。寂しいって、言えばよかったかな?行かないでって…言うべきだった?もう何もかも分からない。あいつの思っていることも、俺がどうしたいのかも。悶々と悩みながらも貴重な休みを活用しようと俺は眠りについた。
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数時間後、俺はラジオの収録に行くために家を出た。スタジオに入ると、プロデューサーと目が合った。
「おはようございます」
俺がそう挨拶をすると、プロデューサーもおはようと笑った。そしてその後、信じられない事実を告げた。
「そういえば、佐野くん熱愛出てたね。アイドルだからやばいかと思ったけど、彼女がいいこだったからか、みんな祝福ムードでよかったよ。結婚は秒読みか、だって。吉田くんも知ってたの?」
頭を鈍器で殴られたようだった。勇斗に、熱愛…?彼女…?結婚…?
…あぁ、そうか。そういうことか。
俺はこの時全てを理解した。理解してしまった。
俺は、2番目だったのだと。
会話が途切れないようにと、俺はプロデューサーに向かって驚いた顔をした。
「勇斗熱愛出たんですか?びっくりだな、俺も知りませんでした。でも、確かに幸せそうですね。楽しそうで。これは確かに結婚秒読みかもなー」
記事を見ながらそう言った。正直泣きそうだった。俺は泣きそうになるのをぐっとこらえながらプロデューサーに少し御手洗に、なんて言って部屋を出た。
頭の中を整理していると泣きそうだった。勇斗には結婚目前の彼女が居て、俺は2番目だった。10年付き合ってきたのは嘘だったのだろうか。
…いや、きっと違う。10年のうちに、素敵な女の人と出会って気づいてしまったんだ。元々はやとは子供が欲しいって言っていたし、幸せになる道はこっちなんだって気づいちゃったんだ。まぁそりゃそうだよな…。あのよりどりみどりな勇斗が男の俺なんかでいいわけなかったんだよな。きっと言い出しにくかったんだろう。俺を傷つけないために演技してくれていたのだろうか。そう考えて申し訳なさと、悔しさと、悲しさで頭はパンクしそうになった。
そして俺は衝動的に勇斗の連絡先をブロックした。もうこれ以上勇斗に気を遣わせないために。
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ラジオが始まってからは仕事モードに切り替えてきちんと仕事をした。仕事が終わったあと、俺は家に帰って考えた。俺が勇斗の為に出来ること。どうすれば勇斗の幸せの邪魔をしなくて済むのか。出てくる答えは一つだけだった。
2日後、一人暮らしにいい物件を見つけ、勇斗と一緒に5年住んでいる今の家の自分の荷物を全てまとめて家を出た。
幸か不幸か、勇斗と今後仕事で会うのは2ヶ月後までない。だから気まずくもならないはず。きっと2ヶ月も経てば俺も気持ちを切り替えられる。
流石になにも言わずに出ていくのは悪い気がして置き手紙を残した。
「勇斗へ。
勝手に出て行ってごめん。今までありがとう。幸せになってね。仕事のときは問題なくやるつもりだから安心してね。」
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こんにちは、主です。
見る専だったのですが、自給自足に書いてみました。初投稿になります。
次回は🩷目線になるかなと思います。
いいねやコメントはモチベになるのでよろしければ感想等お待ちしております。完結したら相互フォロー限定にしようかななど考えています。窓口とか作るべきなのだろうかと考えておりますが、如何せん投稿が初めてなためよく分からず悩み中といった感じです。決まり次第お知らせ致します。
お読み頂きありがとうございました。
コメント
4件
💛さんの気持ちがスっと入ってきて自分も同じ気持ちになって苦しいです…続きがめっちゃ気になります!

初めての作品なのにすごく読みやすくて、思わず感情移入してしまいました😭 続きを楽しみにしてます✨
いろんな事が重なった後の、熱愛はきついですね〜😭 🩷さんと💛さんが、ちゃんとお話しできますように…😭 ドキドキしながら、続きをお待ちしています!