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その美紅の様子を微笑ましく眺めていた俺と母ちゃんは次の美紅のセリフでその場にずるっと尻もちをついてしまった。
「ねえ、この流星群って沖縄にはいつ来るの? 三日後ぐらい?」
美紅のケータイの送話口からドンガラガッシャーンと派手な音が聞こえて来た。どうやら相手の女の子も相当派手にずっこけたみたいだな。それからその女の子の怒鳴る声が俺たちにも聞こえるほどの大きさで美紅のケータイから響き渡った。
「あんた、東京に引っ越したからって沖縄を馬鹿にしてるわけ? だいたい、あんただってウチナンチューでしょうが!」
美紅は天然ボケぶりを全開に発揮して不思議そうに応えた。
「えー? だって、マンガ週刊誌とかだって本土から三日ぐらい遅れてお店に並ぶじゃない。久高島だと一週間ぐらい遅れの時も……」
「それとこれとは話が別でしょうが! いくら田舎だからってね、流星群が三日も一週間も遅れて来る土地がどこにあんのよ!」
電話がブチっと切れて美紅は心底から不思議そうな表情で俺と母ちゃんに向かって訊いた。
「あれ? 小夜子ちゃん、なんであんなに怒ったのかな?」
俺はサッシの枠にすがって立ち上がりながら母ちゃんに言った。
「こいつの場合、シャレでも冗談でもなく……」
母ちゃんも俺と同じ姿勢でその後を引き継ぐ。
「そう、大真面目に言ってるから余計困るのよねえ……」