最近ギャグばかりに走ってますわね……
アメ日続きますわよ。えちちはありませんわ。
「んぅ…?」
翌朝。日本は、見知らぬ部屋で目を覚ました。
洒落た部屋だ、 ベッドだって雲のように柔らかい。
日本には名前もわからない観葉植物に、見るからに高そうな家具が並んでいる。
そして、なによりも。
「へ…?」
誰かの腕が、日本の身体に絡みついている。
ちょうど、ジャングルのツタ植物に、こんなようなものをみた気がする。
ふと横を見た。
幸せそうな寝顔を晒すアメリカがいる。
「うあああああああああああああっっっ!!!」
そして、日本は全てを思い出した。
昨晩、なんだかんだ残業を引き受けることになり、アメリカに手伝ってもらい、その間にヒートが来て……嗚呼、やってしまった。
ぽふんと真っ赤になった後、この後どうすりゃいいんだよ……と真っ青になるという、カメレオンもびっくりの変色を繰り返す日本。
「これが…俗に言う…朝チュン…」
オフィスえっちに朝チュンを添えて。
〜童貞よりも早い処女喪失〜
「がーーーーん…」
最悪すぎるフルコースだ。
日本は、軽く死にたくなった。
「待って…もしかして、今日も出勤…?」
職場でやることをやった後、その相手とオフィス直行なんて地獄すぎる。
絶対に先に出勤しなくては、と真っ青になった日本は、もぞもぞと身動ぎした。
先ずは、アメリカの腕からの脱出が先決だ。
「よいしょ!力つよっ!」
「うーん…じゃぱん…」
「……おーまいがー」
何とか腕から抜け出した日本だが、再びガシッとアメリカに手をつかまれた。
捕らえた餌を、意地でも逃す気はないらしい…が、餌である日本も、意地でも気まずい思いをするのは避けたいのである。
仕方ないので、かわいそうだが手を振り払い、枕を抱っこさせてやった。
日本だと思ったのか、アメリカは枕に顔を埋める。
さて、ありがたいことに、昨日の服が洗濯されて干されていた。
かなり汚れた(意味深)だと思うのだが、シャツもスーツも元通りである。
いそいそと服をまといながら、日本は──はたと気づいた。
「体…汚れてない…」
セクハラえっちに後始末を添えて。
〜気絶中に掻き出される白濁〜
「がーーーーん…」
絶望的すぎるフルコースだ。
日本は、更に死にたくなった。
「…とりあえず…仕事行こ…」
気を取り直した日本は、鞄を持って寝室を出る。
目から流れ落ちたのは、決して涙じゃない。
ただの汗だ。あー暑いなー。
「書き置きしておくか…」
鞄の中にあったメモ帳に、ペンを走らせる。
テーブルの上にメモを残すと、日本はアメリカの家を後にした。
「おや、日本さん…ご機嫌いかが──!?」
「い゛き゛り゛す゛さ゛ぁぁん゛!!」
オフィスにて、同僚のイギリスに出会った日本は、間髪入れずにその胸に飛び込んだ。
ふわ、とシンプルながらも洗練された、フローリスの香りが日本の鼻腔をかすめる。
飛びついてきた日本を危なげなくキャッチすると、イギリスは珍しく、驚きに目を瞬かせた。
「ど、どうしたんです日本さん!?」
「………来ました」
息を呑んだイギリスは、日本の返答に、何かを悟った顔をした。
イギリスが思案するように目を閉じると、長い睫毛が顔に影を落とす。
「ついに、ですか…」
「ええ…」
ごく、と生唾を飲み込んだイギリス。
モノクルの奥の、真剣な瞳で日本を見つめる。
「……どうでしたか」
「僕は全てを失いました。今までありがとうございました。愛してますイギリスさん」
「待ってください死なないでください」
穏やかな顔で昇天しようとする日本を、イギリスは慌てて引き止めた。
全てを失った、という一言に、言いようもない不安を覚えながら、イギリスは日本の次の言葉を待つ。
「イギリスさんって、処女ですか?」
「しょっっっ!?!?」
しかし、何をトチ狂ったのか、仏のようなアルカイックスマイルで、 日本は穏やかにそう問うた。
一方のイギリスは、突然の下ネタに噴き出す。
処女とは何だ、私は男ですよ、と思わなくもないイギリスだが、それはこの腐った世界では愚問である。
「忠告します。油断すると喰われます」
「喰われますか」
「ええ、それはもう、頭からバリバリと」
「頭からバリバリ」
先程の処女云々のショックが抜けきれず、オウム返しするイギリスに、日本は神妙な顔で頷いた。
そして、重々しい表情で、ゆっくりと口を開く。
雰囲気は、さながら国際会議のようである。
「薬を飲まされた陸国が分かりました」
「ほう、それは……?」
「貴方の息子さんです」
「──アメリカァァァァァァァァァァッッッ!」
絶叫するイギリス。
アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド……などなど、子沢山なイギリスだが、日本の意図する陸国は誰か、すぐに分かったらしい。
まあ無理もない、イギリスにとって、一番手のかかる子はアメリカであろうから。
「うちの愚息が大変失礼いたしました……」
「いえ、お構いなく……」
「あの……なぜ分かったのか伺っても?」
恐る恐る尋ねるイギリスに、日本は慈悲に満ちた眼差しを向けた。
嫌な予感がふつふつ湧き出るのを感じながら、イギリスはごくりと生唾を飲み込む。
「昨夜、残業中にヒートになりました」
「ああ…」
「アメリカさんと残業しました」
「ああああ…」
「もぐもぐされました」
「ああああああ…」
日本の言葉に、およよよ……と崩れるイギリス。
もぐもぐだの、バリバリだの、日本の説明には食べる擬音語が多いのだが、実際はもっと水っぽい──いや、もう辞めておこう。
イギリスは、考えるのを放棄した。
「唯一の幸いは、うなじを噛まれなかったことですね」
「おお神よ……感謝いたします」
カトリックなんてクソ喰らえと思っているイギリスではあるが、この時ばかりは神を崇め立てた。
しかし一方の日本は、どこか遠い目をしている。
それもそうだ、今朝オフィスに来たら、性交現場が綺麗に片付いていた、なんて考えたくもないだろう。
まして、ファブリ〇ズの香りが充満していた、なんてことも。
「ヒートはなめてはいけません。クラッときたら、とにかく隠れてください」
「Yes, sir」
「ヒート中、運動能力は十分の一に下がります。一方で感度は十倍に跳ね上がります」
「…Yes, sir」
「陸国といるときにヒートが来たら、終わりです。その時は、うなじだけは死守してください」
「……Yes, sir」
「プライド?処女?そんなものは、かなぐり捨てましょう。とにかく、うなじを守るのです」
「………Yes, sir」
どんどん死んだ顔になるイギリス。
日本は対照的に、女神のような微笑みである。
「一ヶ月、一ヶ月の辛抱ですよね、日本さん……」
「勝利の女神は、私達に微笑むはずです」
ぎゅっ、と日英は固い握手を交わした。
イギリスのブルーアイズと、日本の死んだ魚のような瞳が交差する。
互いに力強く頷きながら、二人は実に、120年ぶりの協力体制に思いを馳せる。
「日英同盟です、英国殿」
「今度は破棄しないとお約束します」
島国の二人が、再びここに、手を結んだ。
「ジャパ〜〜ン……?」
で、どうしてこうなった!?
「ひっ!ひぃっ!アメリカさん!」
資料を探しに足を踏み入れた、薄暗い資料室にて、日本はアメリカと鉢合わせてしまったのである。
実際は、アメリカが日本の後をつけてきたのだが。
地を這うようなアメリカの低い声に、日本は10cmほど飛び上がり、壁際で身を竦ませた。
「これ……どういうことだ?」
ぴら、とアメリカが見せたのは、一枚のメモ。
日本が今朝、書き置きしたものだ。
──アメリカ様へ──
昨夜は大変失礼いたしました。
後のことも全てお任せしてしまい、申し訳ございません。
どうかこの件は、ご内密にお願い致します。
野良猫に手を噛まれたと思って、ご容赦ください。
略儀ながら書き置きにてお詫び申し上げます。
今後とも変わらぬお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
日本
「何?このビジネス文章」
「ひっ!すみませんでしたっ!! 」
蛇に睨まれた蛙のごとく怯える日本の顔の横に、アメリカはドンと手をついた。
俗に言う壁ドンだ。きゃー♡って馬鹿野郎。
超大国に迫られて、ぷるぷると震えている日本に、アメリカは更に距離を詰めていく。
「俺、愛してるって言ったよな?」
「あの、ちか、近いです……」
「は?昨日はお前んナカ、入ってただろ」
「ぜ、ゼロ距離ってことですか……」
「なんで朝いなかったんだよ、俺すげぇ寂しかったんだけど」
「じ、時差通勤ですねハハハ」
アメリカはたいそう真面目くさった顔をして、淡々と下ネタを述べるものだから、日本は冷や汗をかきながら頬を引きつらせるしかない。
そんなアメリカは、いつもにまして押しが強いようで、日本はぐいぐいとその胸筋を押し返す。
「なぁジャパン。お前は俺の嫁だよな?」
「え?いや部下ですねハイ」
「何?野良猫って。野良犬じゃねぇの?可愛いかよ」
「いやあの、言葉のあやですハイ」
「何?噛まれたって。俺が噛んだんだけど」
「おっしゃる通りですハイ」
「何?変わらぬ付き合いって。変わるだろ、恋人なんだから」
「変えないでください、付き合ってないですハイ」
「は?あんなに、好き好き♡って言って、イってたのに?」
「言ってイってた(笑)…いや、何でもないですゴメンなさいハイ」
詰め寄るアメリカに、日本は冷や汗をかく。
なぜだ?ヒートは終わったのに、なぜこんなに襲われかけているんだ?
僕なんかやっちゃった?いやまあ、ヤることはヤッちゃったんだけども!
ぐるぐると目を回した日本の顎をくっと引くと、アメリカはこう告げる。
「なぁジャパン……早く俺のものになれよ」
「ひぃっ!け、検討しますっ!」
「検討じゃねぇ。即決しろ、今ここで」
もはや、告白なのか脅迫なのか分からない。
……いや、脅迫だな、と日本は思い直す。
アメリカ51州目と揶揄されてきたものの、本気で僕を合衆国に組み込もうとするなんて酷いよ、と日本は涙目になった。
アメリカの視線に絡め取られた日本が、ぎゅ…と目をつぶった瞬間。
「──日本を離すヨロシ、ぶち殺すアルよ」
コメント
22件
この物語だけで何回か分からない程吹いたwwwwwww
ww会話おもしろすぎ!! 日英同盟、、、 面白くなってきたなぁww
中国が出た瞬間あれですね笑顔で拍手しましたありがとうございますあと今回めちゃくちゃ吹きましたありがとうございます