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自傷少女(4)
「ねぇ、あいつまた学校来てるよ笑」
「さっさとやめればいいのに、度胸あるよね笑」
「…」
教室に入るとまた待っている私の悪口、陰口、噂。
私に聞こえるように言う人や、こそこそ言う人。
クラスには色んな人がいるわけで。
私のことを何も言わない人なんてジェハしかいない。
でもそんなジェハはいつも私より来るのが少し遅くて、今日もまだ来ていない。
「ねぇ、○○さん」
「?!」
びっくりした。私に話しかけてきたのは△△さんとその友達のヘスさんだったから。
「今日の放課後、校舎裏まで来てくれない?話があるの。」
私はただ怖かったけど、勇気を出して返事をした。
「は、はい」
私が返事をすると2人はくすくすと笑って教室を出ていってしまった。また今日も何かされるのか。もう疲れたな。でももうどうでもいいんだ。傷ついたって構わない。
「○○」
ジェハが私の名前を呼んだ。
「なに?」
「どうしたの、暗い顔して」
「別に何も」
ジェハは心配そうに私を見ていたけど、私は何も無いフリをした。
ごめんね、ジェハ。私はこれ以上ジェハに迷惑かけたくないの。
「今日は先帰っててね、私先生に呼ばれてるんだ」
「わ、わかった」
嘘ついてごめんなさい。私は心の中で何度もジェハに謝った。
放課後になり校舎裏まで来たが、まだ2人は来ていないみたいだ。まだかな?
「あ、ほんとに来たんだ?笑」
「マジでウケる、てっきり逃げるのかと思ったわ笑」
私が?逃げるわけないじゃない。
「ほんとに度胸あるよね〜尊敬するわ笑」
「…話ってなんですか?」
さっさと済ませたくて、少し急ぎめに質問した。
「あ〜、笑」
「ソンフンとジェハくんにもう近づかないでよ」
さっきまで笑っていた顔が急に真剣になり、殺すような勢いで私を睨んでくる。
「ソンフンは私の彼氏なの、分かるよね?」
△△さんは冷たく私に言い放った。
「ジェハくんは私の好きな人なのよ、勝手に取らないでくれる?」
そしてヘスさんも。
「ソンフンくんとはもう話してないです。」
私は正直に答えた。
「ふーん、じゃあジェハくんは?」
「ジェハくんとも縁切れるよね?あんた性格悪いんだし、ジェハくんが可哀想」
「…」
そんな簡単に縁を切れだなんて、私にはできない。
ジェハは私の唯一の友達なのに、ジェハと離れるなんて怖くて出来ない。でもジェハだって、私と一緒になんかいたくないよね。ジェハと離れた方がいいのかもしれない。
“俺がしたくてやってることだから○○は気にしなくていい、分かった?”
ふと昨日のジェハの言葉を思い出した。あれはどういう意味?聞けばよかったな。でももし聞いてたら、ジェハは答えてくれたかな?
こんなことを考えてても、2人は待ってくれなくて
「ふっ、なんか言えよ」
ドンッ
「うっ、」
急に脚を蹴られ、お腹を殴られる。
「痛い目見せないとわからないみたいね」
そう言って私に暴力を振り始めた2人。
痛くて声も出ないけど、別に助けがいるわけでもなかった。
私は意識が少しある状態になるまで暴力を振るわれ、倒れてしまった。
「今日はこれくらいにしとくか」
「また明日もここね〜笑」
2人はゲラゲラと私を見て笑いながら行ってしまった。
少しの間私は動けなかったが、意識がまだあったお陰ですぐ動けるようになった。
ゆっくりと立ち上がり、できた痣や傷を見る。
たくさん傷つけられたというのに私は何も感じなかった。ただただそれが痛いだけで、見つめることしかできなかった。
教室に戻ると案の定、誰もいなかった。だけど期待してしまっていた。もしかしたらこの前みたいに、ジェハが待ってるんじゃないかって。でもいるわけないよね。
「さっさと帰ろ」
色んなことを考えてるうちに嫌なことばかり思い出すし、ジェハには迷惑かけてばかりだし…
「ジェハとは距離を置こうかな、」
結局、したくない選択をした。
次の日からは本当にジェハと私は全く喋らなくなった。そして放課後は毎日暴力を振るわれる日々が続いた。ジェハが話しかけようとしても私はひたすら寝たフリをして無視した。
そんなことが続いていたある日、私はいつものように校舎裏で2人から暴力を受けていた。
「…」
私はもう抵抗も何もしない。されるがままにするだけ。無駄だって分かってるから。
「あはは、まじで不細工じゃん笑」
「この辺にしとこ?笑」
「また明日ね〜」
いつもみたいに笑って帰って行く。
こんなにも毎日暴力を受けているというのに、いつも辛くて泣きそうになるのはどうして?
いつものように教室に戻ってすぐに帰ろうとした。でも今日はいつもより疲れていて。
「立てない…」
脚を強く蹴られたせいか、脚に力が入らなかった。
「はぁ、疲れるな本当に」
大きく深呼吸をして自分のスクバを持とうとした時、誰かが先に私のスクバを持った。
「ジェハ、」
私の前の席に座り、こっちを向いたジェハが私のスクバを持っていた。
「さ、先に帰ってって言ったのに…いつもなら帰ってるじゃん」
泣きそうだった私は涙を隠すのに必死だった。
「何、俺が○○といたらダメな理由でもあんの?」
少し怒った表情のジェハが、私の目を真っ直ぐ見て言った。
「…」
言えない。だって言ったら、暴力を受けていたことだって私がめちゃくちゃ最低なことをしたことだってバレちゃうから。でもジェハが次に言った言葉はそんな不安を全部消してくれるような言葉だった。
「俺は○○が何をしたって止めるつもりないし、嫌うつもりもない。俺が言いたいのはそういうことじゃなくてなんで俺に何も言ってくれないのかって聞いてんの」
ジェハは優しいな。でも私はこれ以上ジェハに甘えてばっかじゃダメなの。
「とにかく何も言わずに俺の事を避けるのはやめて」
「別に避けてなんか…!」
「○○が何も言ってくれないなら、俺が問い詰めてもいいけど」
そんなこといいはじめるジェハに戸惑う。
「何もないってば」
「嘘だね、じゃあ俺の目を見てよ」
ジェハはじっとこっちを見つめてくる。
私はジェハの目を上手く見れない。
「ほらね、すぐ目逸らす」
「そ、それはジェハが…」
「俺が何?」
またじっと見てくるジェハに何も言えなくなる。
「○○、俺が前言った言葉、覚えてる?」
何を言いたいかは分かった。私が何を考えてるのか、ジェハにはバレてるんだ。きっとあの言葉だろう。でももう一度ジェハからのその言葉を聞きたくて、黙っていた。
「俺がしたくてやってることだから○○は気にしなくていい。」
ほら、それだ。きっとジェハは私がジェハの心配をしていたことに気づいてたんだ。そう思った。
「ジェ、ジェハ」
「ん、なに?」
優しい声と笑顔で私を見るジェハ。
「…全部話しても、私のこと嫌わないでいてくれる?」
私は一応、恐る恐る聞いた。
「もちろん、○○のこと信じてるから」
ジェハは変わらず笑顔で答えてくれた。
To be continued…