僕の中でどうしようもなく言葉が渦巻いていた。
好きすぎて苦しい――それを認めたくない。
怖くて、ただ怖くて、
この先もっと傷つけられそうで、
嘘でも、拒絶したくて。
元貴『……若井なんて、嫌いだ、』
押し殺した声で言った。
元貴『……大嫌い……!』
それを、今度はしっかりと。
若井の胸を思いきり、両手で突き飛ばした。
若井はわずかにたじろいだ――
でも、その瞳は決して離れない。
怒りも、悲しみも、全部まるごと呑みこんで、
ぐっと僕を見据えたまま、
それが一瞬で甘い色に変わる。
滉斗『嘘つき、そうやって言葉じゃ
なんとでも言えるんだよな……
――でも、絶対お前の本心聞かせてやるから』
かすれた低い声。
その熱に、僕は小さく身体を震わせた。
元貴『くそっ、…やめろ……離せよ…っ、!』
どれだけ叫んでも、若井の腕は
鋼みたいに僕を抱きしめて離さなかった。
圧倒的な力と、本気の熱が、
どれほど嘘を並べたって、瞬時に全部、
溶かしてしまう。
次の瞬間、荒っぽく、けれどなぜか甘く、
熱いキスがぶつかってくる。
元貴『や…んっ……ふ……っ!///』
首筋をなでるように抱かれ、
背中がぞくぞくするほど密着して、
体温の全部が僕に注ぎ込まれるみたいだった。
唇だけじゃない。
顎先を辿って、喉元に押し付けて、
また唇を深く塞ぐ。
息もできないくらい、
舌が強引に絡めとられて、
甘い味と息苦しさで頭がボーッとする。
元貴『やだ……やめ……やめてよ…、///』
抗う言葉なんて、
次の瞬間には嘴(くちばし)で崩されてしまう。
唾液の音、混ざり合う息、
全部全部熱くて、苦しくて、
それでももっと、
――奥深く、溺れてしまいそう。
ますます際どく、
若井が僕を壁に押さえつけて、
容赦なくキスを重ねてくる。
腕一本身じろぎもできない。
やめて、と押し返した手さえ、今は無力だった。
元貴『ふ……くっ…
…やだ……やめろ、若井……!//』
ポロポロ涙が溢れる。
けれど若井は、
そんな泣き顔さえも捕まえるみたいに、
頬も、唇も、甘く貪って、
耳朶(みみたぶ)にまでそっと噛みついてくる。
滉斗『いい加減――分かってくれよ、
どれだけ拒んだって、
お前の全部、俺が受け止めるから』
元貴『……やめろ……!大嫌い、、
若井、なんて…ほんとに、ほんとに……!』
滉斗『そっか……』
それだけ言って、今までで一番深く、甘く、
そしてどこか切なげに――
元貴『ん、――あっ……!』
舌が、唇が、奥を這う。
どれだけ拒絶を叫んでも、
身体がビリビリと、
熱くなっていくのが止められない。
悔しい。
こんな、
“嫌い”だって言ってるのに、
気持ちは勝手に若井を求めてしまう。
滉斗『元貴、お前がどう叫んでも…
これだけは絶対、変わらないから』
それが彼の独占欲。
僕にはもう、
誰にも渡してやれないっていう宣言――
痛いくらい染み込む深いキス。
僕はただ、涙に濡れた目で、
深紅に染まる頬で、
大嫌いなはずの人を、
一生懸命拒みながら、
それでも――
どうしようもなく愛しくてたまらないんだと、
心のどこかで認めてしまう自分が、
堪らなく、悔しかった。
コメント
4件
大森さんには悪いかもだけど、若井さん…いっけぇぇ!やっちゃええ!