テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
教室はいつになく静まり返っていた。
シャーペンのカリカリという音、ページをめくる音、そして一ももの、ため息。
「…..ナオトお。ねえ、今何問目?ねえ、ナオトってばぁ…….」
「静かにしる、試験中だぞ」
「えっ、今しゃべったのナオトだよ?先生~、ナオトがしゃべりましたぁ〜〜〜」
「お前が先だよ!!」
静寂をぶち壊すこの女、月島もも。中間テストの真っただ中でも、そのポテンシャルは健在だった。
昼休み、答案を回収し終えた後の教室。
「もも、今回やばいかも?」
「いや、今回も、な 」
「で、何が分わかったの?」
「….国語で、作者の名前?」
「それだけ!?」
そして後日テスト返却の日。
「月島もも、3教科合計で…..59点か。惜しいな」「何が惜しいの!?百点満点の話でしょ!?」
「いや、前回より2点上がってる。これは…..
成長だ」
「成長って言えば何でも許されると思うなーーっ!!」
放課後。
「で、ナオトは何点だったの?」「合計で…….271点」
「え、神?」
「いや、普通だろ…..」
「ま、いいや!成績じゃ計れないこともあるし!」
「ももの場合、計れることの方が少ないからな……」
「それどういう意味ーー!!?」
夕焼けの中、またいつもの日常が続いていく。
中間テストは終わった。ももは…..止まらない。
「てかさ~、ナオトって何でそんな頭いいの?家でヤバい勉強法とかしてる?」
「……普通に教科書読んで、ワークやってるだけだけど」
「え、それだけ?…..え、それだけ!?」
「それだけだよ」
「なんでそれだけでそんな取れるの!?私、教科書見ても文字が勝手に踊りだすんだけど!?しかも謎にタンバリン持って!!」
「それ、ももの脳内の問題だろ」
「…..あ!わかった!ナオトの勉強机に、なんか
“頭良くなる水”とか置いてあるんだ!」
「置いてない。というかそんな水あるわけないだろ」
「え?マジで?だって、エレナが言ってたもん。
ロシアにはそういう水があるって!」
「あいつの言うこと信じるな!ていうか、エレナ
どこいった?」
「さっき廊下で廊下と戦ってた」
「廊下と戦ってた!?」
廊下ではエレナが……なぜかカニ歩きで壁とにらめっこしていた。
「ナオトくん!この壁、私に似てます!」
「どういう意味!?あと、なんでカニ歩き?」
「ロシアではテストの後に壁と語り合う文化があります!」
「絶対ウソだろそれ!!」
教室に戻ってきたももとエレナ。
「もも~、私と一緒に勉強会しましょう~!」
「え、するの?」
「はい!私、数学の”るーど”とやらに、勝ちたいです!」
「るーと?√?ああ…..あの、意味わかんない
やつね!」
「意味わからないけど可愛いですよね、あの記号。
にょろ~ってしてて!」
「私も、にょろ~ってしたい!」
「いや、お前らまずはそこから勉強しろよ……!」
かくして、ももとエレナの”バカニ人三脚勉強会”がスタートした。
果たしてこの二人が、次の テストで”るーと”に勝てる日は来るのかーー
でも、それでも笑っていられるのが、中学生活のいいところ。