「さて、まだ最終選別は始まんねぇし、どうすっかなー」
しばらく歩き続けた所で糖分が切れた為、
現在茶屋にて団子を頬張っていた
「はぁー、今は医者知識もねぇし、煉獄家は後回しにすっか」
となると、と私が考え込んでいると
「ねぇ聞いた?2丁目の冨岡さん家の娘さんついに嫁ぐんですって!」
「まぁ!それなら聞いたわ、確かお金持ちんとこの息子さんでしたっけ?」
「そうそう!本当に羨ましいわよねぇ」
隣の茶屋の娘と婦人が話しているのを偶然耳にし、私はまた団子を口へ運んだ
、絶対冨岡さんじゃないですかヤダー
「、あのーすみませんねぇ。その話、少し詳しく聞いても?」
私は団子の串を咥えながら、婦人の元へ歩み寄った
話を聞けば、冨岡家は以前病気によって両親が亡くなり現在は姉弟で二人暮らし
そして今日、めでたく姉の祝言の前日らしい
うんもう絶対冨岡さんじゃん。水柱じゃん
「、マジかよ、何で今日?不運すぎじゃね?おかしくない?」
ってか最終選別まだだったんかい。なんかさっきまで結構考えてた私バカみたいじゃん
婦人は夕飯の買い出しがどうとかで行っちゃうし、茶屋は店じまいだし
しかも話聞いてたらもう夕方だし、やっぱ近所のおばさんってすげぇわ
めっちゃ話上手でつい聞き入っちまったぜ
ってか私絶対鬼倒せないよね?だって日輪刀ないもん星砕しかないもん
あまってミスった。それ銀さんの木刀の名前だ
「だぁー!ったくめんどくせぇな!」
私は後頭部を掻きむしり、その場で勢いよく立ち上がった
「とりあえず、その2丁目ってとこ探すか」
私は団子の串を吐き捨て、歩みを進めた
________
「蔦子姉さん、いよいよ明日だね。おめでとう」
「えぇ!ありがとう義勇。」
二人で囲む最後の食卓、幸せそうに微笑む姉の顔を見て、思わずこちらも口角を上げた
姉はいつも僕の為に働いて、女の子らしい事は出来ずにいた
けど今は違う。ようやく、姉は幸せを掴めるんだ
それがとても嬉しかった
姉と食べる最後の夕食を噛み締めていると、家の戸がゆっくり開いた
「おいおいィ、女に子供じゃねぇか。こりゃあ良い」
そこには、肌は灰色へ変色し意地汚く涎を垂らす”人ならず者”がいた
以前、町で聞いた覚えがある
この町には夜になると、人を喰う化け物が現れると
「そうだなぁ、まずはその女から喰っちまうかァ」
「!!」
「っ、蔦子姉さん!!」
化け物がゆっくりと歩み寄り、僕は必死に姉へ手を伸ばす
ダメだ、せっかく、せっかく幸せを掴める所だったのに
こんな所で死ぬなんていやだ!まだ、一緒にやりたい事があったのに、
「誰かっ、」
助けて欲しい。そう願った刹那
「うぐぁっ!?」
「!?」
「あ、、」
木製の古い壁が突き破られ、一瞬のうちに化け物の肩を壁へ突き刺した
「おいおい、何おっ始めようとしてやがる
発情期ならそこら辺の雌猿で我慢しやがれ」
「っ、、」
夜風に靡く煌びやかな銀、まるで宝石のように奥行きのある紅い目
その全てが美しく感じた
、僕を踏みつけていなければ
____数分前____
「2丁目ってここ?随分田舎じゃねぇか」
しばらく歩き続けると、畑や田んぼだらけの場所へ辿り着いた
遠くにはポツンポツンと小さな灯りと家があり、私は辺りを見回した
とりあえず表札でも探すか
私がそう思った瞬間
「まずは、その女から喰っちまうかァ」
「!」
近くでそんな声が聞こえ、私は小走りで表札を探す
「っ、蔦子姉さん!」
子供の声が聞こえ、私は神経を尖らせ音を判別する
すると、近くの民家らしき家から声が聞こえた
「、ここか」
民家の壁に木刀を押し当て、思いっきり突き破った
________
「ぎ、義勇!」
「お前んなとこにいんなよ。危ねぇだろー」
私は下にいた未来の水柱から足を退けた
「おい姉ちゃん。そこのガキ連れてさっさと逃げろ」
「多分そこら辺に鬼殺隊っちゅう奴らがいるはずだ。とにかくソイツらを見つけろ」
未だにジタバタと暴れる鬼を壁へ縫い付け、蔦子へそう伝えた
「あ、貴方は!?」
「私はコイツをここへ食い止める。だから、さっさと行け」
私がそう告げると後ろからパタパタと駆ける音が聞こえた
「くっははっ!お前、こんなナマクラ如きで俺を止められる訳ねぇだろ!」
「っ!ぐっ!?」
鬼は私の腹を足で蹴り、私は外へと飛ばされた
「うっせぇ木刀舐めんな。テメェなんかに真剣を使う方が勿体ねぇよ」
私は木刀を構え、鬼へ一気に斬りかかる
「無駄ってぇのに、人間っていうのは本当に愚かだなァ!!」
鬼が腕で木刀を受け止めた瞬間、関節部分から綺麗に切り落とした
「なっ?!」
「言っただろうが、テメェ如きに真剣を使う方が勿体ねぇって」
私はそのまま鬼の上半身と下半身を真っ二つにした
すげぇ、やっぱ前世思い出しても体は覚えてるもんなんだなぁ、
「クソッ!クソクソ!!だが、日輪刀がなきゃ俺は死なない!」
「すぐに下半身を再生して、、って、何やってんだお前」
私は鬼の上半身と下半身を家へ入れ、囲炉裏のすぐ近くに腰掛ける
「え何って、夕飯の残り食うんだよ」
あぁそれと、と私は囲炉裏に火をつけ鬼の下半身と上半身の斬られた場所に当てた
「ぎゃァァァァァ!!!」
「日光に弱ぇんなら、火にも弱ぇだろ」
私は鬼の傍に近寄り、ニマァと笑みを浮かべた
「ねぇねぇ?今まで散々小馬鹿にしていた女に負けて火炙りにさせられるのってどんな気持ち?ねぇねぇ?」
「なんで鬼の俺より鬼やってんだよ!!」
鬼とそんな事を話していると、遠くからバタバタという足音が聞こえた
「あ、やべ。そろそろ行かねぇと」
「は!?おい!待てやゴラ!!」
私は鬼の遠吠えを無視し、夕飯の残りを口に入れてその場から去った
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