僕は、隣の牢の少女に興味があった。
きっかけなんてなかった。ただ、本当に隣の少女の時々聞こえてくる声が本当に悲しそうだったから。
推定10歳も行かない子だろう。でも、どこか大人びていて。どこか……悲しそうに思えた。
日々弱くなっていく声、ここに来てから食事に手をつけていないのであろう。
僕はたまらず声をかけようとしたがいざとなると何を話したらいいのか、どう声をかけたらいいのか分からず。ふと頭に降りてきた小説の文章をなぞって
「君も罪人?」
などと見れば誰もがわかる質問をする。
少女は、ため息をつき1テンポ置いて
「そうじゃなかったらここ《牢屋》には居ないわ」
と不機嫌……と言うよりかは呆れているように僕に言った。僕は何か言葉を間違えたのかと心配して少女に謝りたかったが、今度は何を言えばいいのか分からない。
僕は、とりあえず同意した
「あ、確かにね」
と返しながら、僕は少女の思考が気になり少女の心を読む。
「この人……何?バカ?」なんて僕の悪口を言っていた。どうやらバカにされているようだ。まぁ、かなりバカそうな発言をしたのは僕だが、そこまで言う必要は無いと考えたが。正直これが少女の思ってることである。
僕は少女に「僕バカじゃないよォ?」なんて、余計バカにされそうな子供文句を言う。
少女はその発言にびっくりしていた。恐らく声に出ていたと思っているようだ。少女は、僕を見てから
「え?声に出てた?」
とさっきまでの不信な声から、少し声のトーンが上がり幼い少女の声へと変わった。
僕は、面白くなり少女をからかうように
「出てないよ?」なんて少し笑ったように右手で口を押えた。
少女は、困惑して「え???」という声をこぼす。少女を見て僕はニヤリと笑ったが、少女は隣から聞こえていたはずの声が移動したことに気がついた。
それもそうだ、牢屋から音もなく囚人《同士》が出ているのだから。
普通なら、囚人が出ていたら看守が来るものなのに全くもって来ない。なんならアラームすらもなっていなかった。
僕は場を濁して「心を読んだだけぇー」と言い、指パッチンで首の毒薬首輪を外した。
続く……
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