2話
誰も知らない事実
起きれば病院だということはすぐに分かった。
部屋全体が白くて嫌気も指す。
腕を見ると点滴が刺さっていた。
点滴は体に栄養を入れるもの。
そう頭によぎった瞬間その点滴が嫌になって痛さなんて関係無しに引っ張って取るとナースコールがうるさいほどに鳴る。
その音でさえ嫌で俺は枕に顔を埋めて聞こえないように耳を塞いだ。
ガララララ…!
看護師「東雲さん!大丈夫ですか?!」
🥞「うるさいっ!頭が割れるっ!」
今の俺は聞こえてくるものが全て響いてキーンとするような声が響く。
看護師「ナースコール止めるので落ち着いてくださいっ!」
看護師「あッ…点滴が取れてしまっていますね。今から差し直すので腕を…」
🥞「嫌っ…嫌だっ…絶対に嫌ッ、!」
看護師「痛くないですよ。怖くもないです。安心してください。」
🥞「違うッ…痛いなんてどうでもいいっ…」
看護師「じゃあどうされました?体調悪いですか?」
🥞「あっ…冬弥!とーや…」
看護師「…とーや…青柳様ですか?」
🥞「そう!とーやがッ…」
看護師「分かりました。お電話をしてきますので少々お待ちください。」
なんで今俺は冬弥の名前を呼んだんだ?
あぁ、この自分を見て心配して欲しいから。
きっとそうだ。
看護師の情報によると俺は3日眠っていたと。
3日もこんなもの(点滴)が着いていたなんて考えたら吐き気がした。
ガララララ…
☕「彰人!」
🥞「…とーや、」
☕「こんなにもやせ細ってしまって…」
☕「無理にでも食べさせるべきだった。ごめんな彰人。」
🥞「(心配…してくれてるんだよね、?)」
ガララ…!
🎧「彰人!」
🐹「東雲くん!」
🎧「あッ…きと、?」
🥞「あ、ん、?」
🎧「あんた痩せすぎ!どんだけ食べてないの!?」
🐹「青柳くんからは聞いてたけどここまでとは思ってなかったよ…。何があったの?東雲くん。」
☕「怒るつもりなんて無い。教えて欲しい。」
🥞「(こんな馬鹿らしい理由…言えるわけねぇだろッ…笑)」
☕「全部受け止める。教えて欲しい。」
🥞「誰が言うか…(小声)」
☕「?!」
🐹「今何か言った、?」
🥞「……………」
🎧「なんか返事くらいッ…!」
🥞「うるせぇ!余計なお世話なんだ!」
もう俺を愛す人なんて居ない。
もう分かりきってた。
じゃあ自分から切り離そう。
🥞「お前らなんか大っ嫌いだ!ずっとずっと!俺の思い通りになんねぇのはお前らのせいだ!お前らのせいでおかしくなった!」
☕🎧🐹「?!」
🥞「食えなくなったのはお前らのせいだ!お前らの優しさで俺の気が緩んだんだ!やるなら完璧に終わらせたかった!けどお前らがッ…!」
ばぢんッ…(頬を強く叩く)
🎧「あんたっ…私たちのことそんな風に思ってたんだッ…」
🐹「あ、杏ちゃん!落ち着いて!」
☕「白石!落ち着け!まだ彰人の話は終わっていない!」
🎧「…そ、うだよね、。ごめん。」
☕「”大丈夫”だ。」
🥞「?!」
🥞「(俺には言ってくれなかったくせに杏には言うんだな…)」
まぁいいや。今日でこの関係もおしまいだ。
🥞「お前らが俺に優しくするからッ…俺がおかしくなった。これくらい我慢できるのにお前らが甘やかすから全部台無しになった!俺がずっとずっと頑張ってできたものも全部失った!」
🥞「もう、!関わるな!お前らなんて最初から大っ嫌いで憎かった!」
もう突き放してくれ。
いっその事心の底に沈めてくれ。
🥞「言いたいことがあるなら言えよ!好きなだけ今!言えよ。」
☕「…彰人な理由を言っていない。」
🥞「は、?」
☕「彰人はご飯を食べない理由を一言も言っていない。それは誤魔化すためか?本当はそんなこと思ってないくせに嘘なんかつかなくていい。」
🥞「…んなバカらしい事…どうせ引くだろ、…」
☕ 「引かないって約束する。それにその理由をバカにするつもりもないしこれは4人だけの秘密にしておく。ゆっくりでいいから教えてくれ。」
🥞「…誰も俺の努力を見てくれなかった。頑張っても頑張っても見てくれない。みんなのために何か出来ることは全部やった。なのに見てくれない。」
🥞「誰かに見てもらえる方法はもう『心配』しかない。俺の身に何かがあればきっと俺を見てくれる。心配されたかった。」
🥞「キャンプに行った日…杏が指切って冬弥が心配してたろ。それがずるいって思ったんだ。…バカだよな…」
🥞「飯食わずに体を壊せばお前らは俺に『心配』するだろ?ずっと誰かに見て欲しかった。心配されて愛されたかった。」
🥞「もういっその事死んでやろうと思った、。死んだら俺のために誰か泣いてくれねぇかなって。けどそんな勇気なくて死ねなくて。」
🥞「んで結局は飯食わずに体調崩して心配してもらいたいってなった。それだけ。バカだろ? 笑」
☕「ごめん。ごめんな。何も知らずにずっと怒鳴ってばっかりだった…。気づいてやれなかった。何も知らないくせにずっと…。」
🥞「(謝られてばっかりだ。心配なんか俺にはしてくれないんだな、)
🎧「なんで言ってくれなかったの!彰人は人に頼るのが好きじゃないのは分かるけど…!でも…今回彰人が頼れなかったのは私たちのせいでもある。ここは謝りたい。ごめん。彰人。気づいてあげられなくて。今度は私達が彰人をサポートするから頼って欲しい。」
🐹「私もそう思うな。1番近くにいた私達が気づけなかったのは私たちの責任。ごめんなさい。東雲くん。これからは頼って欲しいな。」
俺は謝罪が欲しいわけじゃなかった。
ただただずっと。心配されたかった。
一生叶わない夢か…
3話へ続く…
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