「たしかギニュー特戦隊は今ここにいるはずなのですが…。」
そう言って本部を歩いて回るフリーザだったが、おかしなことにギニュー特戦隊の姿が見つからなかった。フリーザの記憶ではギニュー特戦隊は既に今日の任務を終えて戻っているはずだった。
しかし本部のどこにも見当たらない。おかしい。
「すみませんね、今ギニューさんに連絡を取るので少し待っていてください」
「はい」
フリーザはスカウターでギニューに連絡を取った。ギニュー特戦隊は5人のエリート戦士で組まれたフリーザ軍の中でもトップクラスの精鋭部隊で、その隊長を務めているのがギニューという男であった。
フリーザが連絡を入れると、ギニューはすぐに応答した。すぐに連絡が取れたことにフリーザは安心する。
「こちらギニュー、いかがいたしましたかフリーザ様!」
「単刀直入に聞くのですが、今どこにいるのです?まだ任務から帰還されていないようですが」
「ああ、そのことなのですが…実はグルドが負傷してしまいまして…。」
「…ほう?グルドさんが?」
「はい…今回の任務の遂行にはグルドの能力が重要になっていたので少々痛手になっておりまして…まだ時間がかかりそうです。申し訳ありません…。」
そうですか、分かりました。フリーザがそう言って通信を切ろうとした時だった。
通信を聞いていたメイズはフリーザを遮って一言言った。
「私がそこに向かいます、座標を教えてください」
「な…!?フリーザ様、今のは一体…。」
当然メイズのことを知らないギニューは困惑した様子でフリーザに尋ねる。メイズは極秘で開発されていたため、メイズのことについて知っているのはフリーザと研究者数名のみなのである。
フリーザもメイズの発言には驚かされたが、これはメイズの力を見るには良いチャンスだ。想定ではかなりの戦闘力を有しているはずなので、きっとギニュー特戦隊の足を引っ張るようなことにはならないだろう。
「ギニューさん、今そちらに彼女を送り込みます。説明は後ほどいたしますので、とにかく今はこれ以上負傷を受けないよう身を隠すなどしていなさい」
「しょ、承知いたしました!」
こうしてフリーザとギニューの通信は切れた。
思わぬ形で舞い込んだメイズの初任務。できるだけ早くデータを取りたいフリーザからすればなんとも好都合であった。
「メイズさん、今空いている小型宇宙船に座標を入力しておいたので急いでそれに乗ってギニューさん達の支援に行きなさい」
「分かりました」
「私としてもこの事態は少々想定外なので、油断はしないようにお願いしますよ」
「もちろんです、可及的速やかに敵を殲滅し保護にあたります」
そう言ってメイズは宇宙船のあるステーションまで走って行った。フリーザはその背中をしばらく見つめていた。
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