テラーノベル
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ゲーム中。
正確には――
シクサーの長すぎるオタクトークを聞かされている最中だった。
「だからな、c00lkiddって奴はマジで天才なんだよ」
「へぇ」
「昔のRoblox界隈じゃ伝説級で――」
「ふーん」
「このスクリプトの発想とか今見てもすげぇし――」
「へぇー」
「あと――」
「へぇー」
「聞いてるか?」
「聞いてる聞いてる」
聞いてない。
全然分からない。
スクリプトがどうとか。
エクスプロイトがどうとか。
僕には呪文にしか聞こえなかった。
それでもシクサーは楽しそうに語り続ける。
珍しい。
普段はどちらかというと無口なのに。
好きな話題になると止まらないらしい。
「――で、c00lkiddの残した影響は今でも」
「ねぇ」
「ん?」
「そのc00lkiddって誰?」
シクサーが固まった。
「誰って……」
「人?」
「人だよ」
「友達?」
「違う」
「じゃあ何?」
「伝説」
「???」
ますます分からない。
僕はポテチを食べながら首を傾げた。
シクサーは頭を抱えている。
「どう説明すりゃいいんだ……」
「そんなに好きなの?」
「まあ尊敬はしてる」
「ふーん」
僕は少しだけ口を尖らせた。
そして何となく言ってみる。
「僕より?」
「は?」
「そのc00lkiddの方が好きなんだ」
シクサーの動きが止まる。
完全停止。
CPU使用率100%。
処理落ちしている。
「……」
「……」
数秒後。
ようやく再起動した。
「ちげーよ!!」
ものすごい勢いで否定された。
「え?」
「何でそうなるんだよ!」
「だってずっとその人の話してるし」
「だからって――」
シクサーは顔を真っ赤にした。
耳まで真っ赤。
首まで真っ赤。
「お前と比べる話じゃねぇだろ!」
「そうなの?」
「そうだよ!」
僕は少し笑いを堪える。
面白い。
ものすごく面白い。
「じゃあどっちが好き?」
「お前」
即答だった。
しかも反射。
考える時間ゼロ。
僕の方が驚いた。
「えっ」
シクサーも自分で言ってから固まった。
「あ」
「……」
「……」
気まずい沈黙。
数秒後。
シクサーは観念したように頭を掻いた。
「……お前の方が何倍も好きだわ」
ストレートだった。
変化球なし。
遠回し表現なし。
クリティカルヒット。
僕のHPが吹き飛んだ。
「~~~~っ!?」
「だから変な勘違いすんな!」
「む、無理!」
「何がだよ!」
「急にそういうこと言うの!」
顔が熱い。
たぶん真っ赤。
シクサーも真っ赤。
お互い真っ赤。
ひどい空間だった。
しばらくして。
僕がようやく落ち着いた頃。
シクサーは小さく呟いた。
「……そもそもな」
「?」
「c00lkiddは伝説だけど」
彼は少し照れ臭そうに笑う。
「一緒にゲームしてて楽しいのは、お前だけだ」
その追撃は必要だっただろうか。
少なくとも僕には、
致命傷だった。
#007n7愛され
あおあお
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#007n7愛され
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