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◇
その夜。気になってスマホで花言葉を調べた。
――― ゼラニウム:あなたの愛を信じない。
そうだった。これが本来の意味。あいちゃんの言った通り。
なんか、ちょっとだけ、怖くなった。
次にアイビーの花言葉も見てみた。
「死んでも離れない」
ゾワッとした。思わずスマホを落としそうになった。
アイビー ――― あいちゃんの名前と同じ。ずっと「離れない」って、そういう意味…?
まさかね。
次の日。放課後の帰り道。
「ねえ、つ〜ちゃん。最近、見られてる気がするって言ってたよね?」
「…うん。言ったけど」
「それ、たぶん “ 当たり ” 」
「え?」
「見られてるんじゃなくて、 “ 見せられてる ” んだよ。つ〜ちゃんに、 “ 私の視線 ” をね」
「っ…は?」
「ごめんね、不安にさせたくてやったんじゃないんだよ。ただ、気付いてほしかっただけ。 “ ずっと一緒 ” にいたいって気持ち」
そう言って、あいちゃんは制服の胸元を引っ張って見せてきた。そこには、深緑色のアイビーのブローチがついていた。見たことのないほど濃い、まるで闇みたいな色だった。
「このブローチ、呪具みたいなものでさ。 “ 願い ” が叶うの。中学の時に手に入れたんだ。『*つ〜ちゃんとずっと一緒にいられますように*』って、祈ったの」
「やめて。冗談でしょ、あいちゃん?」
「ううん、冗談じゃないよ。だって、 “ 死んでも離れない ” って言葉、すごくない?」
あいちゃんがにこっと笑った瞬間、周囲の音がピタッと止まった。
風もない。空気もない。時間すら止まったみたいだった。
そして ―――