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zm視線
zm「…な、なんで…?」
立っているのもやっとなほど動揺していた
自分でもらしくないと思う
手がかすかに震えて銃を取り出すのに時間がかかった
窓から見える晴天と入道雲
夏の暑く心地よい風が空いた窓から入り書類が数枚舞った
倒れた総統
血のついた剣
それを持つ書記長
そいつの目には感情などなかった
その目を見た時
俺は動けなかった
だってそいつ
苦 し そ う な 顔 で 泣 き そ う な の に 笑 っ て い た か ら
もうわけがわからなかった
誰よりも忠誠心が高いと思っていたそいつが
最初の頃から総統と一緒にいたそいつが
真面目で、優しくて、おかんみたいで、ノリが良くて、怒ったら長くて
総統も信頼していたそいつが
「お前、軍人失格やな」
冷たく言い放たれたその言葉がまた俺の頭をぶん殴る
言葉の意味は一瞬で理解できた
総統が血を流し総統の血がついた剣を持っているそいつ
見た時点で撃たなければいけなかった
迷ってる暇なんてない
言われた瞬間に俺は俺が考える前に
引き金に置いてある指に力を入れていた
. ばんっ
. という音
聞き慣れたその音
その瞬間だけはやけにうるさかった
すぐに駆け寄った
インカムを入れ声量なんて忘れて焦りの滲んだらしくない声で叫ぶようにいった
zm「グルッペンが死にかけとる!!!総統室やはよ来い!!」
医療の知識なんて医療班に比べればないに等しい
けれど自分が治療される様は幾度なく見てきた
自分の服を破りすぐさま止血をする
腕と腹
まだ息がある
死んではない
すぐにドタドタと煩い走り音たちが聞こえて勢いよく開けられる扉
あるものは総統の傷を見て
あるものは裏切り者を見て
総統はすぐに医療室に連れてかれた
そしてその後すぐに、裏切り者も
裏切り者も死んでなかった
俺の失態だ
頭を打ち抜けなかった
肩 足 腹
こんな自分が不甲斐なかった
裏切り者はすぐに殺すべきだ
なのに頭を、心臓を狙えなかった自分の中で
あいつがどれほど大きな存在だったか今一度思い知らされた
飯をあまり食べなくなった
前より味がしなくなった
前より食害が面白くなくなった
書類に逃げ込んだ
それは俺だけじゃなかった
総統は一命を取り留め今は安静にしている
あいつがいなくなった分仕事量も増える
けれど、仕事が増えたからみんな仕事をしてるわけじゃない
実を言えばたかが一人減ったくらいで仕事量なんてさほど変わらない
それなのにいつもサボるあいつも、あいつも、あいつも
みんな仕事に逃げていた
みんなで食事を囲むことが少なくなった
全員が揃うことなんて徐々になくなった
朝起きて、飯食って、訓練して、仕事して、飯食って、また仕事して
繰り返される日常の中で欠けた一つが大きすぎた
仕事をサボったら長く長く怒られることがなかった
食害をして食べてくれる奴が一人減った
手合わせしてくれる奴が
くだらないことに笑いながらノってくれる奴が
みんなの顔からどんどん生気がなくなっていった
笑うことが少なくなり
話すことが少なくなり
よく仕事をサボって怒られていたあいつも今は仕事に逃げ込んでいる
甘いものを食べなくなって
苦いままのコーヒーを飲んで
ようやく総統らしくなったそいつ
それと同時に、俺らの総統じゃなくなった気がした
何年経っただろうか
赤い紅葉が窓から舞って入ってきた
会議室、珍しく全員が集合している時
ひゅっと俺の喉が鳴った気がした
赤い紅葉が、俺には真っ赤なマフラーに見えた
血が染まったような赤いマフラー
俺が殺したんだ
俺が
俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が俺が
遠くでカラスが鳴いている。嘲笑うように
不意に総統が口を開いた
gr「あいつな、スパイやったんよ。一番最初から」
何を言ってるのか分からないが、それを指摘する空気でもなかった
gr「それでも、あいつは俺を殺さなかった。何年経っても、どんな機密情報を渡しても、外に漏れることがなかった」
「それであいつに聞いてみたんだ」
gr「……なぁ、トン氏」
「なんや?」
gr「お前、スパイやろ。それはもう気づいとったんやけど、お前情報漏らしとるか?」
「………」
「………なんや、気づいとったんか」
gr「当たり前やろ。で?」
「………わざわざ聞かんでくださいよ」
gr「俺はお前の口から聞きたいと言ってるんだ」
「……俺は、情を持ちすぎた。それだけや」
gr「だったらあっちを裏切ってちゃんと俺の国で働けばいい」
gr「そう言ったんだ。そしたらあいつ、『それは無理や』って」
「ほんまに意味わからんかったわ」
なんの話だ?とほとんどが思っただろう
だが同時にその先の話を想像できてしまう俺の腹の中はぐるぐる回って今にも吐きそうだ
zm「………そんで?」
聞きたくない、聞きたくないのに聞いてしまう
いや、聞かなければいけないのだ
俺にはそれしかできない
gr「そんでな、」
「俺、あんたのこと殺さなあかん時が来る」
「せやからその時は、俺があんたを殺す前に俺を殺してくれ」
gr「………なんでそうなる。お前がこっちにくれば済む話だ」
「それだけじゃ済まんから殺せ言うてんねん」
gr「なんでお前はあの国に執着する、お前が離れられない理由があるのか?」
「だったら俺が、俺がどうにかするに決まって
「無理や」
gr「………だからなんでや聞いとんねん…」
トントンは剣を抜いた
剣を抜き、こちらに刃を向けた
「俺がやらな、他の奴が来てまう。俺みたいにあんたに情を持ってへんから、すぐ殺しにくる」
gr「……それで俺が死ぬと思うか?」
「……ちゃうねん」
「もう」
「もう時間切れなんや」
は?と聞き返したさ
その後すぐに思考が停止した
「俺の中にな、爆弾あんねん。あと数日で起動してまう爆弾がな」
「ここら一体全部巻き込む、せやから早めに俺殺しとき、そんで山奥に捨てるか解剖するか」
gr「生きたまま取り出す」
「無理やそんな時間残ってへん」
「……しかもそれ、一個ちゃうねん。数は俺にも分からへん、でも取り出せる時間は残っとらん」
トントンは深く深呼吸をした
夏の暑い太陽に照らされながら
その剣を振り下ろした
zm「…な、なんで…?」
そのあと来たゾムは見たことないくらい動揺していたさ
会議室に流れるしばらくの沈黙
最初に口を開いたのは俺だった
zm「……やから…トントンは…」
言いたくなかった
信じたくなかった
確定してしまうことが怖かった
みんな暗い顔をしている
泣きそうな奴もいた
こんな話をされるのは今回が初めてだ
もう夏は何回も過ぎた
流石に話すのが遅すぎるではないか
周りをぐるっと見渡せば何人かと目が合い何人かは下を向いている
gr「……お前らがそんな静かになるなんて、あいつも愛されたものだな」
gr「………なぁお前ら、あいつのことを憎んでいるか?」
その言葉を聞いた時
考える前に口が動いていた
zm「んなわけあるかい」
それは俺だけじゃなかった
こんなわけあるか、憎むわけないだろ
俺の声と同時に重なった声
あいつ、流石に愛され過ぎてないか?
なんて、さっきまで腹ん中ぐるぐるしていた気持ち悪さはどこかにいって
暑い夏に季節外れの赤い紅葉は都合のいいように解釈してしまうから勘弁してほしい
gr「ま、あの国にそんな技術はなかったんだがな」
なんのことだ?と首を傾げる
gr「爆弾だ。トン氏の体に爆弾なんてなかったし戦争した後きちんと確認が取れた」
「正確にはあれだ、体内にはあったがもう起動はしない爆弾。簡単に取り出せた」
zm「…………は?」
つまり
つまりどう言うことだ?
爆弾はなかった
それはいいことだ
だがなぜ?
確かに俺はトントンを撃った
肩と足と腹
だがすぐに医療室に行った
そこで初めて疑問に思った
別に医療室じゃなくてもいい
むしろ総統と一緒にするのは危ない
なぜ治療する必要があったのか
まるで
まるでその言い方は
いや、そんなわけない
グルッペンが紛らわしい言い方をするだけだ
ほら周りを見てみろよ
全員何言ってんだこいつって目でお前を見てるぞ
gr「……お前らなぁ、ここまで言ったんだ察してみろ」
gr「ゾム、お前はトントンを殺したか?」
zm「……う、撃ちは、したけど……最後に見た時は、まだ息しとった…」
gr「俺はいつ『トントンは死んだ』と言った?」
zm「……いってへん」
gr「つまり?」
zm「…つまり、……トントンは………い、生きとる…」
静かだった空気が
一瞬にして爆発した
kn「はぁ?!?!」
sho「ちょ、なんでもっと早く言わんかったん!!!」
rbr「おまっ、何いたって普通ですみたいな顔して言っとんねん!!」
ci「てか今どこおんの!?」
久しぶりに聞いたみんなの声
うるさくて、それでも生き生きしてて
久しぶりに時間が動き出したみたいにみんなの顔が見えてきた
gr「いや、俺はちゃんとやっただけやで」
gr「トン氏の治療が終わった後、お前は殺さん言うたら」
「やったら、どっか俺は遠いとこ行くわ」
「あんたに許されても合わせる顔があらへん。二、三年したら適当に言ってくれ」
gr「ってな。文句はトン氏言うんだぞ」
rp「で、トントンさんの場所は??」
gr「知らん。探せ」
syp「ちょっと情報集めつきます」
迷いもなくショッピが立ち上がり会議室をでた
次々にコネシマ、シャオロン、ロボロ
あいつらは本気で見つける気だ
こうなったら止められない、むしろ止める奴なんて一人もいない
あっという間に会議室には俺と総統だけになった
zm「………なんでトントンのこと止めなかったん」
gr「止める必要なかっただろ」
zm「………せめて、せめて生きてることくらい言ってくれても良かったんちゃう?」
gr「あいつの言うことは守りたくてな」
gr「ほら、お前も探してきたらどうだ」
丁度よく遠くからコネシマの馬鹿でかい声が聞こえてきた
kn「ゾムーー!!!!!」
zm「うるせぇ…」
笑いながら部屋を出る
zm「絶対見つけたるから、あんたは怒られんように書類でもしとき」
gr「ああ、分かってるさ」
えーんど
鬱書きたいな思って書き始めたのにさ
全然鬱じゃないし結局ハッピーエンドだし……
私には鬱を書く才能がないらしい。
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