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さっそくケンカが始まりそうな予感⋯⋯大丈夫かこの二人?
最近俳優としての大森さんを見る機会が増えて嬉しい反面やっぱり3人一緒が一番!なんていう気持ちを押し付けたお話です笑
ねぇ、映画の告知活動の為とはいえ、最近グループとしてじゃなくソロでの活動が多すぎると思わない?
しかも仕方ないけどいっつも出演者と2人で出てるしさ。
楽しそうにゲームしたり、女優さんとか他のアイドルの人とも仲良さそうにしてて。
挙句なんか他の人から膝の上に座られたりさぁ、そもそもあいつは距離感が近すぎるし、俺には連絡も素っ気ないし、2人きりでなんて最近会ってないのに。 はぁぁ、もう俺のことをなんか飽きたのかな?寂しいし、辛いのに···ギターさえ弾いておけばそれでいいの?俺ってなに?どういう存在なの?
と、一気に喋りつくした俺に涼ちゃんは難しそうな顔をしつつ、いつものほんわりとした口調で、それは困ったねぇ、と一言呟いた。
「涼ちゃんまでそんな素っ気ないの嫌だ!俺は真剣なんだよ!」
思ってた反応と違って俺はうわぁん!と不満を叫び涼ちゃんの部屋のソファに遠慮なく寝転んだ。
「そんなつもりは···ほら、いい子だからそんな風に言わないで」
そういって俺のセットもしてない寝転がったせいでぐしゃっと乱れた髪の毛を撫でてくれる。
そんな優しい涼ちゃんを責め、恋人の愚痴を言いに夜遅くに部屋に上がり込み好き勝手している俺ってなんてめんどくさい、嫌な奴なんだろう。こんな俺誰も好きになってくれないよな···。
「ごめん···めんどくさいし、最悪だ俺···」
「だーかーら。若井はめんどうでもないし最悪でもないよ。ほら、いい子いい子」
まるで子供をあやすように優しく背中も撫でてくれる。この優しさがほしくて元貴の愚痴を言ったり相談するのはすっかり涼ちゃん、と俺の中で決まっていた。
「ぅ”〜っ、寂しいんだよぉ」
「愚痴ならいくらでも聞くけどさ、その気持ちって元貴に伝えた?」
「こんなの言えるわけない!言ったら絶対嫌われる、鬱陶しいって思われるよ···」
そう、だからグズグズといっているのだ。元貴の前ではいつも通り物分かりのいい、嫉妬や束縛なんかしない俺でいる為に。
「でも若井の寂しい気持ちはこれからどうなるの?伝えるくらいしてもいいんじゃない?」
「けど、嫌われたくない···」
「元貴はそんなことで若井のこと嫌ったりしないよ。···それにもし元貴が酷いこと言うなら···」
「言うなら?」
「元貴のところには返さない。僕が若井に優しくしてあげる」
「それっ···」
「ね、きっと大丈夫だからちゃんと言いなさい」
それってどういう意味?って聞こうとした言葉が遮られて、涼ちゃんはいつもの優しい笑顔で俺の頭をまた撫でた。そして諭すように言われた俺は本意じゃないながらも、元貴に伝えてみようかなぁという気にさせられた。
翌日、伝えてみようと思ったものの忙しい元貴を誘うことすら勇気がいってしばらくメッセージを送るかどうか携帯の画面とにらめっこしていた。
『今夜時間あったら、会いたいんだけど』
そこへタイミングよく、元貴からお誘いのメッセージが入る。俺は嬉しくて速攻で返事を返す。
『時間ある!』
『返事早すぎ笑 仕事終わったら家に行くわ』
やばい、嬉しい。久しぶりに2人きりで会えることが嬉しくて、気をつけてないとにまにまと口元が緩むくらいだった。
家は綺麗に片付けて、元貴が好きな飲み物やお菓子も用意は完璧だ。
もしかしたらお風呂も入るかなと思って掃除したし、お泊り用のスウェットも用意した。
「ごめん、遅くなっちゃった」
仕事場から直行してくれた元貴は珍しく急いできたような疲れたような感じだった。
「忙しいのに来てくれてありがとう、飲み物色々あるよ」
あれこれとテーブルに並べる俺を見て元貴がクスっと笑う。
「これ貰おうかな···若井も忙しいのに、ありがとね」
「いやいや、元貴の方が···しばらく、まだテレビとか忙しいよね?」
「まぁね、GWに向けて告知いっぱいしておかないと···けど、それもあと数日だよ。それが終わったらしばらくはないかな」
ソファにもたれ掛かり、脱力している元貴を見るとこんな姿を見せてくれるのは俺だけにかな、なんて考えて自己満足する。
「···今日は、その、帰るよね?」
「んー、若井がいいなら泊まってもいい?」
「えっ、いいの?」
「嬉しい?」
元貴がにやっと笑って俺を見る。その顔はいたずらを思いついた子供のようでそんな顔も好きだなと思ってしまう。
「嬉しいよ···」
恥ずかしくて声が小さくなる。久しぶりの元貴の声や仕草全てにドキドキとしてしまう。
「ほんとに若井の家に来れたのも久しぶりかも···けど忙しけど映画とかさ、テレビとかさ、結構楽しいから悪くないんだよね」
もたれ掛かっていたのが更にずり落ち、ソファにころんと横になって目を閉じている。やっぱりかなり疲れているようだ。でも、それ以上にそういった仕事が好きなんだろう。俺といるより刺激的で楽しい?ぐっと胸が痛くなって、思わず本音が口をついた。
「俺はずっと寂しかったのに元貴はそんなことなかったんだね」
「え?」
やってしまった、と思った時にはもう遅く一瞬にして空気はピリッと静かに俺に纏わりついた。