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第13章:黒鎧の再臨(完全版)
――星の中心《アステリア》。
封印の光が地を走り、空が赤黒く染まる中。
ゲズとセレナの前に現れたのは、完全な兵器と化した黒き騎士――レル=ザイオス。
「ゲズ、セレナ。排除対象――起動開始」
彼の声は、まるで機械のようだった。
だがゲズは知っていた。あの奥底に、まだ“彼自身”がいると。
「……もう一度、向き合う。今度こそ、逃げない!」
⸻
―第一波:斬撃の嵐―
ザイオスが動いた瞬間、空気が砕けた。
**《魔剣・屠星》**が光を裂き、
一瞬で距離を詰めてゲズに一太刀を浴びせる!
「速いっ……!」
ゲズが跳び下がると同時に、背後にもう一撃。
反応しきれず、肩を裂かれる。
セレナが即座に**回復術《再癒の光》**を展開。
「今のザイオスは、剣速と斬圧が桁違い――近づけば即死よ!」
ゲズは痛みをこらえ、目を見据える。
「でも、あいつ……攻撃に“感情”がない。読み切れば……」
ザイオスの連撃が来る。
剣閃が地をえぐり、崖が吹き飛ぶ――!
ゲズが雷を纏って拳で迎え撃つ。
「雷閃破・穿(せん)!!」
雷が逆流し、剣と拳が激突!
衝撃波が爆風となり、周囲に閃光が走る。
⸻
―第二波:共鳴連携―
「セレナ、力を貸せ!」
「――わかってる!」
セレナが詠唱を始める。
「時を束ね、想いを繋げ……《連魂の印章》!」
ゲズの身体にセレナの光が宿る。
ふたりの鼓動が同期し、雷と癒しが融合した新たな技が完成する。
「これが、俺たちの力だ!」
ゲズが跳び上がり、拳に雷を収束させる。
「雷穿砕・共振――!」
振り下ろされた拳がザイオスの剣を叩き伏せ、
ついに鎧の肩部分が砕け飛ぶ!
その瞬間、
ザイオスの動きが、一瞬止まる。
「なぜ、俺は……迷っている?」
目の奥に、“かすかな記憶の光”が揺れる。
⸻
―第三波:ルシフェルの干渉と暴走―
だが――その迷いを打ち消す声が、空から降りてきた。
「まだだ、ザイオス。お前に自由はない」
空間が歪む。
ルシフェルの干渉が始まる。
ザイオスの胸に漆黒の刻印が浮かび、全身から黒雷が噴き出す!
「うっ……! なに、この気配!? あの時のザイオスじゃない!」
セレナが叫ぶ。
ザイオスの剣が闇の火花を引き裂きながら、
ゲズを貫くほどの速度で迫る――!
「来いよ……あんたがどんな怪物になっても、俺は――!」
ガァァンッ!!!
雷と雷がぶつかる。
暴走するザイオスを前に、ゲズが拳を真っ向から叩き込んだ。
それでも止まらない。
怒涛の斬撃、地を焼く闇雷――
「ならッ……こっちも、全力で応える!!」
⸻
―最終一撃前の対話―
ゲズは重い一撃を食らい、地面に膝をつく。
それでも立ち上がる。
「レル=ザイオス……あんたの本当の剣は、こんなんじゃない。
あのとき……リオンが泣いたんだ。
“お前を止められなかった”って、泣いたんだよ!!」
その言葉に、ザイオスの剣が止まった。
顔を上げる。目が、震えている。
「……リオン……なぜ、そんなにお前は……」
だが次の瞬間、刻印が再び暴れ出す。
「ダメ、ゲズ! 刻印が、あの人の意志を完全に……!」
ゲズは叫んだ。
「だったら、ぶち壊してやる!!」
拳に雷を集め――全力の一撃をザイオスの胸へ叩き込む!
「雷裂拳・零ノ型――貫光(かんこう)!!」
雷と光が爆ぜる。
暴走の黒雷を、光の雷が切り裂いた。
⸻
―終幕、わずかに残る声―
爆風の中、ザイオスの鎧が崩れる。
彼は膝をつき、顔を上げて――
初めて、涙を流したように見えた。
「……リオン……お前の想い、ようやく……」
そのまま、彼は意識を失い崩れ落ちる。
セレナが急ぎ駆け寄り、微かに残る生命を癒す。
「まだ……助けられる。絶対に」