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夜がふけて、家の中に静けさが満ちていた。
ミルはフカフカのクッションベッドの中で丸くなり、すっかり眠っている。
その様子を横目に、イギリスは寝室の照明を落とした。
英「……もう寝ましたか?」
仏「うん。……なんかさ、あれ、天使でしょ?」
英「何回言うんですか、それ」
仏「だって、ほら。あんなにふわふわで、あったかくて、くっついてきて……まるで君みたいだなぁって」
英「……寝ますよ」
ふくれたように掛け布団に潜り込むイギリスを、フランスはにやけながら見つめた。
仏「はいはい、おやすみ」
そう言って、静かに布団に入ったその時だった。
――モゾッ
英「……ん?」
足元のあたりがわずかに動いて、布団がふくらんだ。
すると、どこからかふわりとした毛並みの塊が顔のあたりへ……。
ミルだった。
英「あ……」
仏「……やば、かわいすぎ……」
モゾモゾと二人の間に入り込んできたミルは、フランスの腕に軽く頭を預けて、イギリスの手元に前足をちょんと乗せた。
英「……あの……これ、完全に真ん中取られてますけど」
仏「いいじゃん。ミル、ちゃんと僕らの子って感じで」
英「……子って、そんな……」
仏「僕らが一緒に暮らしていくって、そういうことじゃない?」
英「……そう、ですね。……でも、こうして間に来られると……ちょっと」
仏「ちょっと?」
英「……フランスの腕にくっついてるの、羨ましいなって」
フランスは一瞬、ぽかんとした後、照れくさそうに笑った。
仏「じゃあさ……ほら、こっちおいでよ」
英「……えっ」
仏「ほら、ミルを真ん中にして、君もこっち寄って。……三人で、ちゃんとくっつこう」
英「……もう……言い方がずるいんですよ、あなたは」
それでもイギリスは、ゆっくりと身を寄せた。
ミルを間に挟んで、フランスとイギリスの腕がほんの少しだけ触れ合う。
暖かくて、穏やかで、優しい夜。
英「……こういうの、いいですね」
仏「うん。……ずっと、こうしてたい」
ミルの小さな寝息を聞きながら、ふたりはそっと目を閉じた。
それは――きっと、たしかな家族の形。