浴槽とネオンテトラ

今思えば呪いだな、家族とか、血の繋がりとかって。

隣ですやすやと眠る神格者サマは知らない、

俺の穢れた部分、穢された貞操、大嫌いなもの

言わなくとも分かる通り、皆知っているように、

俺はマドル家の出来損ないで無価値だ

父親は暴力、暴言は日常茶飯事。母親の顔なんて覚えていない

いや、クソ親父のストレス発散のための道具としてなら価値ありまくりなのか？

だって自分の血や吐瀉物は自ら片付け、

外では良い父と子を言われずとも演じ、

何一つ文句は言わず父に媚びへつらい、

ただただ都合の良い人形になっている

最高の玩具じゃねえか

そう、都合の良い人形だから。

寝台の上で組み敷かれ、脱がされ、秘部を晒され、

うん、それでも抵抗したら、玩具としての価値さえ無くなる、そうだろ、

大丈夫、痛くない。

例え慣らされずにブチ込まれたとしても、

いい感じに締め付けとけば終わる、

大丈夫、怖くないから。

ひとしきりヤッたあとは放っててくれる、

いつもは冷たい床でもこんな日はベットで寝ていい、

そうだ、マシだ

痛くない、怖くない、助けなんて要らない

いつか他の意味でも価値ある人間になればやめてもらえる

数え切れない性交と射精の後

あの忌々しき存在はこう囁いた

「お前みたいな無価値は一生身を売っておけ」

はは、いつかっていつ？

これ以上頑張るの？おれ

雨が降っている

最近は外にすら出されなくなった

風邪を引いたら道具になれないから

痛む身体を起こした

神なんて居ない

小さな窓から身をねじり這い出て、

湿った空気を肺一杯吸った。

幼いなりに魔法の制御を頑張ったが

窓を泥にするのに魔力を使いたくない

合理的になれ

ここからずっと遠くに行くために

無価値で出来損ないの少年は走り出した