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しばらくすると
「優香!」
二階にいた私が呼び出される。
行きたくないなと思いながら階段を降りた。
「これなに!?お風呂の縁にこんなの置いて汚いじゃない!さっさと捨てなさいよ!」
なんのことか分からずお風呂の縁を見ると、よもぎの葉っぱだった。
お姉ちゃんが嫌がりそうな細かい葉っぱを取っておいたのを捨て忘れてしまったのだ。
「今捨てるね。」
「気持ち悪いのよ!」
よもぎを取ろうとするとドアが開いた。
「なんだうるさいな」
お姉ちゃんが怒鳴るからパパが来てしまったのか。
「こいつがお風呂の縁にゴミを置きっぱなしにしたの!」
どうせ反論しても伝わらない。
私の言葉はなかったことにされる。
「お前後から入る人の気持ち考えろよ。さっさと謝れ。」
さっさと謝ってしまった方が楽だと私は知っている。
昔だったら怒ってただろうな。
でももう私は抜け殻になってしまったんだ。
一回きりなら些細な出来事。でも毎日話が通じないと、声が出ないような、一人で話しているような気分になる。
相手は目の前にいて、本当は聞こえているし、理解できるはずだと知っているから、辛い。
しかも笑顔で、少しでも機嫌を損ねないように常に気をつけなければいけない。
家族なのに。
幸せな家庭を見る度に胃袋がねじ切れそうになる。
塵も積もれば山になる。
本当に。大きい山に。
もう、疲れたな。