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いつもの図書館の帰り。優香が突然口を開いた。
「ねえ、今度の土曜日、海、行かない?何も分からないような田舎を通って。
きっと楽しいよね。」
「…いいね。名案だ。」
「連絡もせずに居なくなったら、思い通りに動かなかった私たちを責めるかな。」
珍しく、そんな分かりきったことを優香が口に出した。
でも、その気持ちが俺には分かってしまった。
俺らは小学生の頃、いやもっと前から本音を笑顔の裏に貼り付けて、見えないように必死に隠してきた。
もう、疲れたんだ。
ふらっとどこかへ消えてしまいたい、なんて何度願ったことだろう。
俺らの場合は小さな軋みが侵食して身体を蝕んだ。だからこういう願いや行動には何の前触れなんか、無いんだ。
約束の土曜日。本当は土曜授業があった。
でも、俺たちはなんの音沙汰もなく、消える。