テラーノベル
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爆発音、瓦礫の崩れる音、激しい風の音)
(疲弊したりゅうきが地面に膝をつき、ひでゆきが荒い息を吐いている。かいとは透明になりながらも、その姿が時折揺らぎ、限界が近い)
悪霊の元凶
(低く、響くような声)
無駄だ……抗う力は、もう残ってはいまい。お前たちの心臓は、この世の理から外れた能力の源。それを潰せば、全ては終わる。
(悪霊の元凶が、鋭利な黒い瘴気の刃を形成し、れあに向けて放つ。その刃は、まるで意志を持つかのように、れあの心臓を正確に狙う)
れあ
(息を切らし、病弱な体が限界に近い。それでも毒づく)
ッチ……しつこい悪趣味野郎め……!
(れあは渾身の力で「破壊」の能力を発動させ、瘴気の刃を相殺しようと手を伸ばす。しかし、すでに能力の酷使で疲弊している彼女の体は、上手く制御できない)
りこ
(れあの隣で、その動きを見ていた。次の瞬間、迷いなく飛び出す)
れあ!させないっ!
(りこは、迫る瘴気の刃の軌道上に割り込み、バレエで鍛えた身体の柔らかさを最大限に活かし、体をひねる。そして、刃が当たる瞬間、自身の体を一時的に鋼鉄のように硬化させる!)
(SE: 鋼鉄が砕けるような、しかしどこか弾かれるような、甲高い音)
りこ
(体を貫かれたような衝撃を受け、激しく咳き込む。硬化させた部分に深い亀裂が入っている)
くっ……!
れあ
(目を見開く)
りこ!?馬鹿なことすんじゃねぇ!
(瘴気の刃は、りこの硬化によってわずかに軌道を逸らされ、れあの心臓を直接貫くことは免れた。しかし、その刃はれあの左胸、心臓のすぐ横を深く抉る!)
れあ
(激痛に顔を歪め、そのまま膝から崩れ落ちる)
がっ……!
(れあの体から、紫色のオーラが噴き出し、瞬く間に消えていく。彼女の「破壊」の能力の光が、完全に失われたことを示す)
すいれん
(れあの感情の波を強く感じ取り、駆け寄る)
れあちゃんっ!大丈夫!?能力が……!
ひろふみ
(れあの心に触れ、驚きと悲しみを覚える)
…っ、能力が消えている。しかし、命は繋がっている……!
悪霊の元凶
(わずかに眉をひそめる)
……生き残ったか。だが、その力は失ったようだな。無力な人間など、取るに足らん。
(悪霊の元凶が、再びれあに止めを刺そうと動き出す。その動きは、先ほどよりも速く、確実だ)
りこ
(立ち上がり、足元がおぼつかないながらも、れあの前に立つ)
させるかっ!
ともか
(冷静に状況を見極め、時間操作の能力を最大限に展開する)
時間を……止められない。だが、せめて遅らせる!
(ともかの能力により、悪霊の元凶の動きが一瞬、スローモーションになる)
かいと
(透明なまま、悪霊の背後に回り込み、残る力を振り絞って体当たりする)
うおおお!(悪霊をわずかに怯ませる)
ゆうな
(負傷したりゅうきの近くにいた野良犬に呼びかける)
ワンちゃん!れあちゃんのところに、急いで薬を届けて!お願い!
(野良犬は、ゆうなの言葉に反応し、隊員が落とした応急処置キットをくわえ、れあのもとへ駆け寄る)
(倒れたままのれあが、自身の左胸を握りしめる。能力が失われたことを実感する。しかし、その手は震えながらも、弱々しく、隣で自分を守ろうとしているりこの手を探す)
れあ
(絞り出すような声で、りこに)
…っ、お前……バカじゃねぇの……。私なんかのために……
りこ
(れあの言葉に、優しい笑みを浮かべる。毒舌は影を潜めている)
親友が死にそうなんだもの。当たり前でしょ、ドジなれあ。
(その時、クロードがゆっくりと二人に近づく。彼のサイコメトリーの能力で、れあの心に去来する感情――能力を失った喪失感、りこへの感謝、そしてかすかな希望――を読み取る)
クロード
(静かに)
お前は、確かに能力を失った。だが、その命は繋がった。そして、何よりも、絆は失われていない。それは、何よりも強い力だ。
(れあは、クロードの言葉に、そしてりこの痛々しい姿に、こみ上げる感情を抑えきれず、瞳から大粒の涙がこぼれ落ちる。毒舌は出ない。ただ、無力な自分への悔しさと、仲間への感謝がそこにあった)
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