テラーノベル
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742
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(TAKUTO視点)
次の日の撮影現場、明らかに2人の纏う空気は変わっていた。
“俺たち両片想いです”と言いたいかのような距離感と視線。
今まで、ランはその空気がだだ漏れだったけど、カイリュウはまだ一線を引いているような雰囲気だったのに。
撮影中のランを見る目に、少しの恋心を感じた。
昨日、確実に2人の距離は近づいてる。
焦りと苛立ち。
あの時、身を引いたのは、間違いじゃなかった。
そう思ってた。
でも。
これが、俺が仕掛けた罠のせいだとしたら、自分が許せない。
取り戻さなきゃ、気が済まない。
「カイリュウ、もう体調は大丈夫そう?」
撮影を見ていたカイリュウに話しかける。
「おん、もう全然大丈夫!たっくん、ほんまにありがとうな、?せや、お礼せんとな…」
「…それ、今日でもいい?」
「今日?おん、ええけど…何がええの?」
「俺の行きたいとこに付き合ってよ」
「ええで、?どこ?」
「……まだ内緒。仕事終わったら迎えに行くから、家で待ってて。」
「え…なんやねん気になるやん、」
「ふふ。(笑)今日1日気になっててよ。」
それだけ言って、カイリュウの元を離れた。
気になって、少しでも頭に俺が浮かべばいいと思いながら。
***
「カイリュウ、着いたよ。降りてきて。」
夜、仕事が終わってカイリュウの家に到着する。
電話をかけると、はいよーちょっと待っててやーと言って、すぐにカイリュウが現れた。
「たっくん、おつかれさん」
助手席のドアを開けたカイリュウが、そう言いながら車に乗り込んだ。
「カイリュウもおつかれさま」
「俺がお礼せなあかんのに、車出してもらってごめんな?」
「全然いいよ、俺が付き合わせるんだし」
「ほんで、どこ行くねん?」
「まぁ、行きながら当ててみてよ(笑)」
「うわぁ〜そういう事するよな〜!ほんま…(笑)」
そんな会話をしながら、カイリュウの家を出発した。
***
しばらく車を走らせていると、カイリュウが外を眺めながら目的地当てゲームを始めた。
「…っ、あ!焼肉?!」
「違うよ?」
「…え、またラーメン?」
「さすがにないだろ(笑)」
「……え、まって寿司?うわまってあそこ高いねん、頼む、入るな入るな…!」
「大丈夫、はずれ(笑)」
「えぇ?もうなんやねん、そろそろ教えろや…」
「なんでご飯ばっかりなの?(笑)」
「え?飯やないの?」
「違うよ。……あ、もうすぐ着くよ、」
「……は、?…ここって、?」
「ちょっと歩くよ」
車を停めて、目的地まで少し歩く。
夜仕様にライトアップされた煌びやかな入口の前で足を止める。
「ここ。」
「……え…、水族館、?」
「うん。そう。正解。(笑)」
水族館に着くと、予想もしていなかったのか開いた口が塞がらないカイリュウ。
「はっ、?な、なんで水族館やねん、?」
「カイリュウと来たかったから。」
「え?なんでっ?」
「うーん。デートだから?」
「お前まだそのいじり…っ、」
「いじりじゃないよ、本気だよ。…ほら、行こ?」
「えっ…え、?/な、…っ、ちょ、、」
カイリュウの腕を引っ張って、中へ入った。
***
「うわっ、すご…!!」
中に入ると、プロジェクションマッピングで光の演出をされた館内に、カイリュウの目がキラキラする。
「すごいっしょ?(笑)」
「いやっ…これはえぐいわ…ごめん正直舐めてた」
「正直だな(笑)…あ、マップ見よ?」
「おん、」
入口で貰ったマップを広げて、2人で眺める。
距離が近くなって、さり気なく顔を寄せた。
「うわっ、めちゃめちゃ広いやん、これ全部見れるかぁ?」
「全部見るつもりなんだ(笑)」
「いやせっかくならな?(笑)…うわ〜!なんか色々おるやん!」
マップを見ながらはしゃぐカイリュウを見つめた。気付かず楽しそうなカイリュウを見て、胸がキュンとする。
「カイリュウ、」
「ん?」
「楽しい、?(笑)」
少しからかうように言ってみると、途端に恥ずかしそうにするカイリュウ。
「っ…いやまだ全然見てへんわっ!」
「でももう楽しそうじゃん、…可愛いな?(笑)」
「っ…う、うるさいねんっ、はよ行くでっ、?!/」
スタスタと進んでいくカイリュウに笑いながら、後を追った。
「うわ、かわえ〜なぁ…」
カイリュウに追いつくと、水槽に張り付いて小さい魚達が泳いでいるのを眺めていた。
「何見てんの?」
「あ、たっくん見て?ちっちゃ魚。」
「…ちっちゃ魚?(笑)」
「こいつら可愛いねん」
「っ…いや、まって…ちっちゃ魚って…(笑)言い方可愛すぎんだろ…っ(笑)」
「はっ?なんやねんっ、どこにツボってんねん…!」
「ふははっ…(笑)ちっちゃざかな…っ(笑)」
「ほんまにこいつ…!/」
ええ加減にせえよ、と小突かれながらも、その可愛さに笑いが止まらなかった。
***
先に進むと、海中トンネルに辿り着いた。
「うお、すっご…っ、迫力やばない?これ…」
「うん、これはやばいな…」
「これどこ見たらいいかわからへんな?(笑)」
そう言って俺に笑いかける。
あ、今の、可愛いな…
トンネルの中の明るさでカイリュウの顔がよく見えるようになって、水槽よりもカイリュウの方を見てしまう。
「すご〜…何匹おんねんこれ…」
「あんま上見てると転けるぞ?(笑)」
「っ、うわっ!でかっっ!!」
「っ、!」
カイリュウの真横を大きなエイが通り、びっくりしたのか俺にしがみついてくる。
「あっ、ごめ…」
離れようとしたカイリュウの腕を掴んだ。
「んっ、?」
「危なっかしいから繋いでて。」
掴んだ手をそのままスライドさせて、手を握る。
「っ、//えっ、?…いや、それはええって…っ、!」
「これなら上見ても平気でしょ?(笑)」
「いや…っ、さすがに恥ずいって…っ、/」
「いいじゃん。デートなんだし。」
「いやだからっ、それなんやねん…っ、/」
「トンネル出るまでだから。いいから行くよ、」
「え、えぇ〜… っ、/」
手を引っ張って歩き出すと、途端に静かになるカイリュウ。
顔を見ると、恥ずかしいのか下を見ている。
「魚見なよ(笑)もったいないでしょ」
「いや…っ、/なんでそんな堂々とできんねん…」
「…かっこつけたいから、?」
笑いかけると、下唇を噛んで照れている顔を見せた。
「っ…もうお前恥ず…っ、!/俺のが恥ずいわ!/」
「ふふっ(笑)照れた?」
「照れてへんわっ!//」
そう言いながらも、手を繋いだままにしてくれるカイリュウに少し期待してしまう。
「…でも繋いでてくれるんだ、?」
「たっくんが離さへんのやろ…っ、」
「うん。離さないよ?」
「っ…なんか、今日のたっくん、…」
「ん、?」
「…っなんもあらへん…っ、」
何かを言おうとして、口を噤むカイリュウ。
「なに、?教えてよ」
「ええねんもう…っ、はよ行こや…っ、」
繋いだ手を引っ張られ、仕方なくトンネルの先へ進んだ。
たくさん並ぶ水槽を見ていると、館内放送でイルカショーの案内が流れた。
「え?今からショーあんの?」
「見るしかないでしょ」
「行こや!」
2人でテンションが上がりながら、イルカショーを見に向かった。
「これさ、前の方絶対濡れるやつやんな…?」
「濡れるな。(笑)」
「絶対後ろがええ…」
「怖いの?」
「いや、濡れるの嫌やんけ…」
「いいじゃん、楽しそうだし」
「またお前そんな…」
「行こ。」
「えっ…えぇ〜!?ちょっ、たっくん…!!」
後ろにどんどん下がるカイリュウを引っ張って、1番前に座った。
「しかも一番前かよっ…」
「結構かかるかな?」
「も〜知らんで俺…」
嫌と言いながらもちゃんと付き合ってくれるカイリュウ。そんなとこも好きだな…と新しい発見をしているとショーが始まった。
光の演出と、イルカのダイナミックさについ見入ってしまう。
「うわっ!すご〜っ!ははっ!(笑)めちゃめちゃ可愛いやん!」
隣を見ると、大きいリアクションをしながら、ニコニコで楽しそうにしている無邪気なカイリュウ。
めちゃめちゃ可愛いのはお前だよ。(笑)
「カイリュウ、」
「んっ、?」
「楽しい?」
「ん〜?うん、楽しいで、?」
「よかった」
「たっくんは?」
「うん、楽しいよ。」
「…なんか、お礼するつもりやったのに楽しませてもらってんねんけど…」
「いいんだよ、カイリュウが楽しそうにしてんのが見たかったんだから。」
そうやって俺の隣でずっと笑っててよ。
もうあんな顔しないで。
……勝手でごめんね。
「えっ…」
「あっ、カイリュウ、やばいっ、きた!」
「えっ、?…っ、うわっ、!!!」
イルカが高くジャンプして、入水したときの衝撃で大量の水しぶきが舞った。
「ぶっ、、!わ、、っ、」
「ふっ…」
びしょ濡れで一瞬時が止まる。
カイリュウと目が合い、少しの沈黙の後、ぶふっ、とお互いに吹き出す。
「ぶっ、ふふっ、、はははっ、!」
「ふっ、…ふははっ!」
「思ったよりびしょ濡れやんけぇ…っ!!(笑)」
「いや…っ、予想以上やなこれ…っ、(笑)」
「ふはっ…!」
「ふふっ…」
また目が合って、笑い合う。
あぁ、やばい、楽しい。
愛おしくて、可愛い。
カイリュウが笑うと、嬉しくなる。
やっぱり、カイリュウの事が好きだ。
「はぁ…っ、もう、どないすんねんこれ…(笑)」
「あ、タオル貸してもらえるっぽい、貰おうよ」
ショーが終わって、タオルを貰い2人で濡れた髪や服を拭く。
「まだ全然びしょびしょやねんけど…(笑)」
「拭いてあげるよ」
自分の分のタオルでカイリュウの髪の毛をワシャワシャと拭く。
「うわっ、も〜、ぐしゃぐしゃん髪〜」
そう言いながら大人しく拭かれるカイリュウ。
いつもなら照れて、ええって!とか言いそうなのに。
心を開いてくれたような気がして嬉しかった。
「たっくんは?拭く?」
「えっ、?いいの?」
「ん?ええで?」
カイリュウが自らそう言ってきて、俺の頭を自分のタオルで拭いてくれた。
いつもと逆で、甘えさせてくれるカイリュウにドキっとした。
「こんなもん?」
「うん、ありがとね」
「じゃあ行くかぁー」
カイリュウとのやりとりの余韻に浸りつつ、次へ向かった。
***
「あ!!たっくんやばいで(笑)」
「ん?なにが?」
「次、カワウソおる!(笑)」
「まじ?(笑)」
カワウソ=俺という構図のもと、 カイリュウが嬉しそうにそう報告してきて、進むとカワウソが見えてきた。
「うわぁ〜!かわえぇなぁ〜(笑)」
顔が綻びながら、しゃがんでカワウソを見つめるカイリュウ。
その隣にしゃがんだ俺をチラリと確認した。
「…ほら、おじいちゃんやぞ〜」
「誰がおじいちゃんや(笑)」
「はははっ(笑)」
俺が乗ってきたのが嬉しかったのか、ニコニコのカイリュウ。 いちいち可愛くて困る俺。
「よかったなぁたっくん、カワウソいて」
「うん、めっちゃ可愛い」
「そらよかったわ」
「でも今日は、カイリュウの方が勝ちかな」
「勝ち?」
「可愛さ対決?」
「何言うてんねん…っ、もう、ほんまに……調子狂うわ…、」
頭をポリポリ掻きながら立ち上がると、またスタスタと歩いていくカイリュウ。
また後を追うと、クラゲをぼーっと見ている。
薄暗い空間で見るその横顔はどこか儚げで、触れてみたくなる。
近づいて、そっとカイリュウを包み込むように水槽に手をついて、後ろに立った。
「何見てんの?」
「…クラゲ。」
いつもみたいに、俺が近づいても照れない。
「…あれ?照れないんだ。(笑)」
「俺がいつも照れると思うなや?(笑)」
振り向いて、少し余裕のある笑みを浮かべるカイリュウ。
初めて見る顔にドキドキした。
「…へぇ?耐性ついた?」
「…今日、なんか距離近いねん…そらさすがにつくやろ、」
「…それ、さっき言おうとしてたやつ?」
「ん?」
「なんか今日たっくん…って言ってたじゃん」
「っ…や、/…それはええやろもう…っ、」
「今照れたでしょ?」
「照れてへん…」
「耐性ついたなら言ってよ、恥ずかしくないんでしょ?(笑)」
「…っ…いや、…なんか、今日、……恋人みたいやなって、」
「っ……え、」
「変な意味に取るなや?」
「……取るでしょ、」
水槽と俺の間に挟まれ、青く光って映し出されるカイリュウの顔。
お互い照れもせず、時間が止まったみたいに見つめ合った。
目が合って、離せない。
カイリュウも、目を、逸らさなかった。
コメント
8件
毎回毎回心臓キュンキュンします😇😇😇 天才でしょうか🥹

やっばいです!ほんとに最高としか言えないって言うか、もうほんとに大好きすぎる展開と言うか…🥺メロ縁さん愛してます‼️かいるー可愛い‼️結ばれろ‼️