テラーノベル
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「カイリュウ…、」
頬に手を伸ばしかけた瞬間、カイリュウのスマホが鳴りだした。
「っ、!びっくりしたー…」
そう言いながら、カイリュウがポケットからスマホを取りだす。
『着信:ラン』
距離の近さで、その文字が見えた。
スマホを持つ手には、ブレスレットがはめられている。
「っ、ごめん、…出るな、?」
さっきまでの空気は何だったのか、幻だったみたいにいつものカイリュウに戻ってそう言った。
「出るなよ」と言って、ブレスレットごと腕を掴みたかった。
でも、もうあの顔は見たくない。
「…わかった、俺、売店行ってるから。」
会話を聞きたくなくて、そう言って先へ進んだ。
***
しばらくして、カイリュウが売店にやってきた。
「たっくんごめん、待たせてもうたな、」
「ううん。もう大丈夫?」
「うん…あ、ここでもう終わりか、」
「そうだね…じゃあ出ようか?」
「うん、」
水族館を後にして、カイリュウの家へ向かった。
***
車の中で、あの魚がどうだの、イルカがどうだの、水族館の感想を言い合い、たわいも無い話をした。
クラゲの水槽の前で、見つめ合ったあの時の話はお互いにひとつも話さなかった。
「たっくん、今日はほんまにありがとう、…楽しかったで、?」
カイリュウの家に着いて、車を停めた。
そう言って、カイリュウがドアを開こうとする。
「カイリュウ、」
「ん、?」
「…これ。」
さっき、カイリュウが電話している間に売店で買ったものを差し出す。
「…えっ、?なん?」
「開けてみて」
「……ふはっ、(笑)」
袋を開けて、カイリュウがぬいぐるみを取り出した。
「おじいちゃんやん(笑)」
「カワウソだろ(笑)」
こっそり、カイリュウにあげようと思って買った小さいカワウソのぬいぐるみを、おじいちゃん呼ばわりして笑うカイリュウ。
「それあげる。」
「え?これはたっくんの方が欲しいんとちゃう?」
「カイリュウが持っててよ。…俺だと思って。」
「え…っ、」
「…今日はありがとう。本当に楽しかった。じゃあ、また仕事でね、おやすみ。」
「っ…おやすみ、」
少し戸惑った顔をしながら、おやすみと言ったカイリュウを見送って、車を走らせた。
***
(RAN視点)
仕事からの帰り道、カイリュウの声が聞きたくなって歩きながら電話をかけた。
呼び出し音がしばらく鳴り、少ししてカイリュウが電話に出た。
「もしもし、?」
「もしもし、カイリュウ?ごめん、急に」
「ラン…どしたん?」
少しだけ、声に元気が無い気がした。
「…なんか、元気ない、?大丈夫?」
「えっ…いや、そんな事ないで、?……元気はあるねん、けど…」
「けど…、?」
「……今、たっくんとおるねん、」
「っ……え、…」
カイリュウのその言葉に、歩みを止める。
「こないだ…ランが家に来てくれた日、熱出たって言うたやろ?事務所で熱出て、その時たまたまたっくんが来て…家まで送ってくれてん。俺がフラフラやからってそのまま朝までおってくれて…、ほんまに助かったから、お礼したかってん。……やから、、」
俺がその日、カイリュウの言葉を遮って聞こうとしなかった事を改めて話してくれた。
そんな大変だったときに傍に居れなかったことが悔しい。そう思いながらも、たっくんと一晩中一緒にいたという事実に胸が苦しくなる。
たっくんの”ごめんね”という言葉が、今になって重くのしかかる。
お礼、と頭では理解しながらも、今も一緒にいるという現実が突き刺さる。
「……そっか、…話してくれてありがとう、」
「うん……、やから、…ごめん。待たせてるから、もう切るな、?」
「っ……まって、」
かっこよく、物分かりの良い自分でいるはずだったのに。
たっくんの方に行こうとするカイリュウの声を聞いて、 冷静でいられなくなった。
嫌だ。
カイリュウを渡したくない。誰にも。
「ん、?」
「…… 俺だけ見てよ、」
「……ラン、?」
「…明日は、俺にちょうだい、カイリュウ。」
「…っ、え…っ、」
「仕事終わったら、待ってるから…俺の家に来て。」
「…っ……わかった、」
半ば強引に約束を取り付け、電話を切った。
コメント
4件
ッッッッッッッおっっっっとーーーーーーーーーーーー??????????????ランちゃん??????????????それはそういう事で大丈夫?次回まぁ腐女子の私は家と聞くとかいりゅー押し倒される未来しか見えないが大丈夫カナ??????????????いやー次回が楽しみ^^てかまてたくと!!!!!!なんや頬に手を伸ばすってもうそれキスやん!!!!!!まぁ行けーーーー‼️って思っちゃったけど😊

良すぎて次が待ち遠しいです😭 2人とも良い男すぎて、、、どっちを選ぶのカイリュウさん🥹

全部読んでます😭😭最高すぎる まじでランちゃん報われて欲しいです🫶