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第2話 実技授業と、ありえない失敗
魔法学園の授業は、入学翌日から容赦がない。
「――では、実技訓練を開始する」
広い演習場に、新入生たちが並ぶ。
担当教官は、戦闘魔法科の鬼教官として有名な男――グラハム。
「今日は基礎魔法《魔力弾》の精度を見る。
的に当てられなければ、即補習だ」
生徒たちの表情が引き締まる。
(はぁ……面倒だな)
列の最後尾で、レオンは小さく息を吐いた。
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次々と生徒が魔力弾を放っていく。
的を砕く者、かすめる者、失敗する者。
そして――
「Eランク。レオン・クロウ」
名前を呼ばれ、周囲がまたざわつく。
「どうせ当たらないでしょ」
「的に届くかも怪しい」
レオンは無言で前に出た。
(当てない。
でも、外しすぎても不自然)
彼は指先に、限界まで削った魔力を集める。
「……」
放たれた魔力弾は、
ふらふらと頼りなく飛び――
的の手前で、消えた。
一瞬の沈黙。
「……失敗か」
グラハムが眉をひそめる。
「やはりEランク。基礎すら――」
その時。
「……おかしい」
静かな声が割り込んだ。
金髪の少女、セラフィーナ・ルミナス。
首席入学者が、的を見つめていた。
「今の魔力弾、制御が完璧すぎる」
周囲がざわめく。
「え?」
「失敗なのに?」
セラフィーナは続ける。
「普通、失敗した魔法は暴れる。
でも彼の魔法は、“自然に消えた”」
(……やっぱり気づくか)
レオンは内心で舌打ちする。
グラハムも黙り込み、的を調べた。
「……的に、微細な魔力痕がある。
当たる直前で、魔力を完全停止させている……?」
教官の目が、初めてレオンを正面から捉えた。
「貴様……
わざと外したな?」
演習場が凍りつく。
(あーあ)
レオンは少しだけ肩をすくめた。
「……力加減を、間違えました」
嘘ではない。
世界を壊さない力加減を、だ。
グラハムは低く笑った。
「面白い。
Eランクの皮を被った変わり者か」
そして宣言する。
「レオン・クロウ。
次の模擬戦、首席と組め」
「えっ!?」
「はぁ!?」
生徒たちの声が重なる。
セラフィーナは、少しだけ微笑んだ。
「よろしくね。
……あなた、本当は何者?」
レオンは目を伏せる。
(最悪だ)
こうして彼は、
絶対に目立ちたくない模擬戦に
引きずり出されることになった。
――隠していた力が、
試されるとも知らずに。
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