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「で、どうやって俺は助かったんだ?」


「へ、へい、そのアマが……なんか不思議な動作したら、住吉さんが息吹き返して……いや、俺たちも一体ぜんたい、何がなんだか……」


美紅は住吉の状態を目で確かめると、すっくと仁王立ちに立ち上がり、あの不思議な威厳というか迫力のこもった声でそいつらに告げた。


「もう大丈夫ならさっさと行きなさい。今度あたしの兄さんに何かしたら……この程度じゃ済まさないわよ。いいわね」


不良連中は口をきく気力も失くしたらしい。無言で一斉にこくこくとうなずいて逃げるようにその場から走り去っていった。


絹子が俺の肩を両手をつかんで震える声で言う。


「ゆ、雄二……あれ、ほんとに美紅ちゃんなの?」


当の美紅はゆっくり俺たちの方を振り返る。と、そこにいたのは数秒前までの美紅ではなかった。いつもの、あの少しボーっとした感じの、いつもの美紅に戻っていた。


「ニーニ、絹子さん。もう大丈夫みたい」


俺はまだ半分震える声で言った。


「お、おまえ……さっきのあれ……ほんとに霊能力者だったのか?」


「最初からそう言った……」


とにかくまず学校を出る事にした。まさかとは思うが、あの不良連中が戻って来ないとも限らないし。


で、帰り道をそろって歩きながら絹子は俺と美紅の口から、美紅のさっきの不思議な力の事を聞いた。と言っても、俺も美紅の力を見たのは初めてだったんだが。


「へえ、沖縄ってリゾート地ってイメージと米軍基地の話ぐらいしか知らなかったけど、そんな神秘的な土地でもあるのね」


絹子がまじまじと美紅の顔を見つめながら、しきりに感心している。俺も訊きたい事があった。


「なあ、さっきあの不良の番長を生き返らせたのも、ユタの力なのか?」


「生き返らせたわけじゃない……あれは『マブイグウミ』。肉体から抜けかけていた魂を元に戻してあげただけ」


「魂が抜けかけていた?幽体離脱みたいなもんか?」


「転んで頭を打ったショックで、一時的に呼吸が止まるほど肉体がダメージを受けた。それで魂が体からずれてはみ出した、みたいな……あのまま時間が経っていたらほんとに命にかかわったかもしれないけど、すぐ手当したから助かった」


「じゃあ、ユタでも死んだ人間を生き返らせる事ができるわけじゃないのか?」


すると美紅は珍しく不快そうな表情をあらわにして激しく首を横に振った。


「ユタにもノロにだって、そんな事は無理。たとえアマミキヨ様でも死んだ命を生き返らせる事はできない!」


「アマミキヨ様?」


「あたしたち琉球神女が祭る女神。琉球の国を作った母なる神と信じている地域もある」


「おまえ、あの力を使ってた時、なんか別人みたいに雰囲気が違って見えたんだが……あれもユタの力なのか?」


「それはあたしにも自覚がない。だから自分では分からない。でも昔お婆ちゃんから聞いた話では、神があたしに乗り移っているから、なんだって」


そこで絹子が「きゃあああ」と奇声をあげて美紅に抱きついた。


「美紅ちゃん、すごい!美人で可愛いだけじゃなくて、そんな神秘的な力を秘めているなんて」


そして右腕を美紅の肩に回し、左手で美紅の頬を包むようにして、こうぬかしやがった。


「これから、あたしの事を『おねえさま』と呼んでくれない?」


俺は絹子の髪の毛をわしづかみにして美紅から引っぺがした。


「ちょ、ちょっと痛いじゃない、何すんのよ」


「だから、その手のネタはやめろと言っただろうが! 美紅は田舎育ちで、その手の話には免疫がないんだよ!」

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