:少し時が経ち、パーティー会場みたいになった関東卍會アジトです:
「いや、この人数奢るとかお前の家の経済力どうなってんだよ、パワーバランス崩壊しすぎだろ…。」
カクちゃんは俺に対してそう言った。
「だいじょぶだいじょぶ、俺の家、金だけは有り余ってるから。」
「もうそれが怖えよ…。」
カクちゃんはそう言ってため息を吐いた。
「鶴蝶~!」
蘭がそう言ってカクちゃんに思いっきり抱きつく。
「俺は竜胆じゃねぇって!」
カクちゃんはそんな蘭を必死に剝がそうとしていた。
「そんなことは分かってんの、ちょっと羨ましかっただけ~♡」
「めんどくさ…。」
…ま、ここは放置でいいだろう。
俺はカクちゃんと離れ、ココくんのところに行った。
「よっ、楽しんでる?」
俺はココくんにそう聞く。
「ああ、食いすぎて吐きそうなくらいな…。」
ココくん…。
「大丈夫?」
「大丈夫に見えるか?」
「いや、全く。」
「ああ、それが正常だ。」
そう言って、ココくんは少しよろけながら立った。
あ…うん…。
俺はすべてを理解して、すっとココくんから離れた。
「それにしても…俺がこんなパーティーに行くことになるとは…。」
俺は自分でも少し驚いていた。
俺の家は明るみとは程遠い家庭だった。
じいちゃんもばあちゃんもいなければ、母さんも父さんもまともじゃない。
俺は[人殺しが当然]と教わってきた。
だけど、軸は元一般人の母さんと似ていたようで、母さんは俺にいろいろな[世界の常識]を教えてくれた。
そんな、幸せとは遠いけど温かい家庭だった。
そんなある日。
俺の目の前で事件が起きた。
その日も何事もなく眠ろうとしていた。
「警察だ!」
そのとある人の怒号で俺は目が覚めた。
「武道、いるか!」
父さんが小声で俺の名前を呼ぶ。
「うん、いるよ。」
幼かった俺は、小声で父さんに返事した。
すると、父さんは俺に手招きをした。
恐らく、「こっちに来い」というサインだ。
俺は外に出た。
その時だった。
「いたぞ!当主と跡継ぎだ!」
俺らはそいつらに見つかって、急いで家を後にした。
それで、あまり外出ができていなかったわけだが…。
「そこからだっけなぁ…。」
俺はそう呟く。
「どうした?タケミっち。」
「わぁ!っとったっと、マイキー!?」
気配くらい出してくれ…。死ぬかと思った…。
「驚かされる身にもなってくれよ…。」
俺は直球でマイキーに言う。
「あ、ごめん。」
マイキーは意外と早く食い下がる。
そういえば、今更だが俺のだけネックレス貰ってない気が…。
「ねえ、マイキーさ、俺のネックレスどこやった?」
俺はそう彼に聞いてみる。
「あ?ああ、ちょっと来て。」
「え、うん。」
俺はそう言うマイキーについて行った。
アジトの外。
なぜかそこに来た。
「で…えーっと…どうして?」
そう言うと、マイキーは自分のネックレスを俺に渡してきた。
俺は混乱する。
「いや、名前入れ替わってないんすよ…。体も入れ替わってないっすけど…。」
俺がそう言うと、マイキーは少し顔を赤くして言った。
「お守り。俺がタケミっちに殺されたとき、初めてタケミっちは自分のが手に入るの。」
そう言って、マイキーは俺の目を見据えて言った。
「どっちが死ぬか分かんねぇ。どっちも生き残るかもだし、どっちも死ぬかもしれねぇ。」
「ただ、これがあったら、『生きていたんだな』って証拠ができるだろ?」
そう言って、マイキーは俺に近づいて、俺を抱きしめた。
「ちょ、マイキーさん!?仮にも外だし!」
「いいの。このままで。」
俺はどうすればいいかわからないので、とりあえずはそのままの格好でいることにした。
静か。
ただただ、夏の虫の音が鳴り続けていた…。
マイキー殺害まで あと 18日
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