10年前、当時12歳だった小学生の大樹はかつて、両親からひどい虐待を受け続け、ティードに連れ去られたただの人間だった。
ガタン…ガタン…
オークション会場から、何台もの馬車が子供を乗せて、雪山を走り出す
馬車の荷台上の木製の檻の中で子供たちが泣き叫ぶ
お母さん!お父さん!
と、呼ぶも誰も助けには来ない
ダグはカタカタと震えながら檻の隅に座った
大樹「え…?」
大樹は檻の隅にぴかっと光る指輪のようなものを見つけ、拾い上げた
大樹「なんだろう…これ…」
ズバーン!
その瞬間、斬撃音とともに檻が横に真っ二つに割れ、馬車は転倒した
大樹「う、うぅ…」
大樹が目を開けると、転倒に巻き込まれた子供たちの死体の向こうに青いマントの男が海賊の胸ぐらを掴んでいた。
クライス「おい、下っ端、王家の指輪はどこだ」
下っ端海賊「ひええ!俺は何も知らねぇ!見逃してくれ!」
クライス「じゃあ仕方ない、また地獄で会おう」
ザクッとクライスは剣で胸を一突きにした
メント「ん?」
もう一人の男、メントが大樹がこちらを見ていることに気づいた
大樹「ひっ…!」
大樹は咄嗟に頭を伏せた
クライス「人間、その指に付けている指輪をどこで拾った?」
大樹「お、檻の中で…拾いました…」
メント「それは我らのものだ、返してもらう」
大樹は立ち上がり、指輪をメントに受け渡した
クライス「感謝する、君が拾わなかったら指輪は馬車から落ちていたかもしれぬ」
クライス「…これも何かの縁だ、君を兵士として雇ってやる」
クライス「選べ、ここで死ぬか、我らの仲間になるか」
大樹「…仲間にしてください」
クライスはにこっと笑い
クライス「賢い選択だ、いいだろう」
クライス「お前、名前は?」
大樹「た、只野大樹です」
クライス「呼びずらいな…そうだ、今日からお前の名はダグだ」
大樹「…どうして助けてくれるんですか…?」
クライス「かつての仲間に似ていたからかな」
クライス「かつて、私と共に魔王を討伐した人間だ」
現在 池袋交差点
ティード「貴様に俺は殺せない」
ティードは倒れたダグを尻目に歩き始めた
ダグ「はぁ…はぁ…まだだ…これ以上、好きにさせねぇ…」
この人間世界に帰りたいと思ったことはない、戻ったらきっとまた殴られる
けど、他の人間まで巻き込むお前を許せない
ダグ「うおおおおお!!!!」
決死の力で立ち上がり、竹槍を拾い、ティードの背中めがけて投げた
ティード「ぐおお!…」
ティードの背中を一突きにして、ダグは魔力を溜め始める
ダグ「出し惜しむな…これで一気に決めるんだ!!」
ダグの周囲に水のサークルが出現した
ダグ「いけええ!最後のドルフィンズ!」
バシャーン!
大きなイルカがティードに喰いつこうと飛び出した
ティード「まずい…!」
ドゴーン!と爆発が起き、魔力を使い果たしたダグはその場に膝をついた
ティード「惜しかったな、槍兵」
ティードはエスケープを使い、ダグの背後に立った
ダグ「う、嘘だろ…」
バァン!とダグの頭をショットガンで吹っ飛ばした
首がなくなり、血しぶきが舞う中、ダグはその場に倒れた
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!