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琥珀と誰か
私のオリキャラで作っていくヨォ!
今回は、私(琥珀)と蒼真回!
雨が降っていた。
細かい雨粒が、校舎の窓を叩く音だけが響く昼休み。
琥珀は傘を忘れてしまって、廊下の端で雨宿りをしていた。
足元には水たまりができていて、制服の裾が少し濡れている。
「……最悪」
そう呟いた瞬間、背後から静かな足音が近づいた。
振り返ると、そこにいたのは朝霧蒼真だった。
無表情で、制服の襟元だけが少し濡れている。
「傘、いる?」
「え……?」
琥珀が戸惑うと、蒼真は自分の傘を差し出した。
その傘は、黒くてシンプルで、どこか冷たい雰囲気があった。
「……いいの?」
「別に。濡れるのが嫌なだけ」
そう言って、蒼真は無言で琥珀に傘を渡す。
その時の視線は、どこか遠くを見ているようで、琥珀のことを見ているのかどうか分からなかった。
琥珀は傘を受け取り、ありがとうを言おうとした。
でも言葉が詰まってしまう。
「……私、ありがとう」
その言葉に、蒼真は少しだけ反応した。
目がほんの少しだけ細くなる。
「……遅い」
「え?」
「礼は、後でいい。今は濡れないで」
そう言って、蒼真はさっさと歩き出した。
琥珀はその背中を見ながら、何か引っかかるものを感じた。
その日の放課後。
琥珀は図書室で本を読んでいた。
静かな空間。
外はまだ雨が降っている。
「……こんな日、誰も来ないと思ったのに」
そう思って顔を上げると、蒼真がそこに立っていた。
無表情で、手には一冊の本を持っている。
「何してる?」
「勉強」
「……じゃなくて?」
琥珀が聞くと、蒼真は一瞬だけ目を伏せた。
そして静かに言った。
「……本、返すだけ」
琥珀はその本を見た。
表紙は、琥珀の好きな作家のものだった。
「それ、私の?」
「……図書室の本」
「……」
琥珀はその本を手に取ると、驚いたように言った。
「蒼真、私の好きな作家知ってるの?」
蒼真は何も言わず、ただ少しだけ頷いた。
その瞬間、琥珀の胸が少しだけ熱くなった。
「……なんで?」
蒼真はようやく口を開く。
「……雨の日、傘を渡しただろ」
「うん」
「その時、濡れてた。
そのまま放っておけなかった」
琥珀は言葉が出なかった。
蒼真は続ける。
「……別に、特別じゃない。
ただ、気になっただけ」
その“気になった”という言葉に、琥珀は心臓が跳ねた。
「……それって、どういう意味?」
蒼真は一度だけ琥珀を見た。
そして、すぐに視線を外す。
「……俺は、気になるものがあると、放っておけない」
その言葉に、琥珀は初めて蒼真の“温度”を感じた。
コメント
2件
めっちゃ文章力?というか高くて凄いです!!!!(語彙力無くてすいませんッ)