カウンターの隅で賄いを食べ終えた二人は椅子に腰掛けて休んでいた。
「だー!疲れた!!」
翔太が背もたれに体を預ける。
「翔太、頑張りすぎだよ」
「照はいいよなぁ……くそ!」
酔っ払ったお客さんに絡まれることが多い翔太。
もはや日常茶飯事で、照が気が付いて止めることが常だった。
でも今日は団体客の予約が入っていたこともあり気が付くのが遅く、お尻まで触られていた。
店長が気が付いてすぐに店から追い出し、俺たちふたりは早々に賄いを食べさせてもらえていた。
流石にしんどかったのか、机に突っ伏してた翔太がふいに顔を上げ、視線が合う。
照は、心配そうに目尻を下げていたが、目が合った途端真っ赤になり視線を逸らす。
気づけば、翔太の指先は照の袖を摘んでいた。
「照、ごめん」
「翔太は悪くない!俺の方こそ、気が付けなくてごめん……」
照が振り向き翔太の手を握ると、熱が一気に流れ込んで、二人の心臓が跳ねる。
「……俺が守るから。もう離したくない」
「……俺も照といたい」
声は小さくて、けれど確かに響く。
そして気づけば距離が縮まって、肩が重なり、息が触れるほどに近づいて――
その瞬間、厨房の扉がバタンと開く。
「おーい、落ち着いたか?」康二の声。
二人は慌てて飛び退く。
「な、なにもしてません!」
「はい!大丈夫でth!」
康二はにやりと笑い、今日は2人とも上がっていいぞー!と言いながら戻って行った。
顔を真っ赤にしたまま、照は小声で。
「……俺たち、友達のままでいいのか な」
翔太も頬を赤くして、少し笑う。
「うん……きっともう、戻れない」
コメント
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もう戻れないよねえ、そうだよねぇ🥺って気持ちで見てます🤭 あーーいっそ街灯になって見守りたいです🫣
きゃあ🫣🫣
ん?友達のままでいたいってことかにゃ?