店を出ると大雨。
「傘ないんだろ?翔太」
「……まぁな。て、いや、お前もだろ?」
「うち今日は泊まってけよ」
照の言葉に、翔太は心臓が跳ねる。
(泊まってけって……今、言うなよ……)
「お、おぅ」
忘れ物のビニール傘を拝借し、照の家まで歩く。
「うへー、びしょびしょ」
「翔太、先シャワー浴びてこいよ。服貸す」
「お、おぅ」
(照のやつ、強心臓なんだか空気読めないんだか……)
翔太は邪念を振り払うように熱いシャワーを浴びた。
(変じゃない、よね?)
照も照で邪念と戦っていた。
順番にシャワーを浴びて、ベッドを背に並んで座る。
いつもならここで、ゲームでもやろうぜ!となる流れだが、今日ばかりはそうもいかず、とりとめのない話をしつつ、沈黙になるたび意識してしまう。
「……翔太、なんか緊張してる?」
「別に、俺から照の匂いがしてて変な感じ」
誤魔化して笑いながら顔を向けた瞬間、照の指が頬に触れる。
次の瞬間、自然に唇が重なった。
「っ……!」
短く触れただけなのに、二人とも顔を真っ赤にする。
「……あ」
「わり、止めらんなかった」
「いや、俺も……」
もう一度目が合うと、次のキスは深くなる。
触れ合うたび、心臓が暴れて言葉が出ない。
何度も唇を重ねながら、ふたりはただ互いの存在を確かめ合った。
まだ「好き」と言う勇気はない。
でも、もう「友達」ではいられない夜。
コメント
2件
好きって言えない不器用同士めちゃ好き💛💙
じれったいなあ、もう!笑