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私
の名前は『東雲杏』。今年で25歳になる。
私はとある会社の秘書を務めているのだが……最近、ちょっと困った事になっているのだ。
「おはようございます! 今日も良い朝ですね!」
「お、おはようございます……」
そう言って元気よく挨拶をしてくるのは、この会社の社長令嬢――天海唯さんだった。
彼女との出会いはとても印象的で……正直今でも鮮明に覚えている。
あれはまだ私が秘書になって間もない頃。当時の私は新人という立場もあり、右往左往しながら仕事をこなしていた。そんな私に対して社長は優しく色々と教えてくれた。そんなある日のこと。
「ねえ、ちょっとお願いがあるんだけどさ……」
その日、珍しく社長の方から話しかけてきたのだ。一体どんな用事だろうかと思いつつ話を聞くと――
「実は今度、新しくゲームを作ろうと思っていてね。それで君の能力を借りたいんだよ」
そう言って社長は自分のパソコンを操作し始めた。そこにはいくつかのファイルが開かれており、どれもプログラム言語で書かれていた。正直、専門外なのでよくわからないのだが、恐らくプログラミングに関するものだと思う。
「まずはこのキャラクターを作って欲しいんだ」
次に画面上に表示されたのは3Dモデルだった。金髪碧眼の少女。年齢的には中学生くらいだろうか? なんとなくだがどこかの社長令嬢といった感じがする。
「この子の名前は?」
「名前は『メイ』だよ。君には彼女に似せたAIを作成して欲しい」
つまり、社長の趣味で作った人工知能のようなものを作る機械があるとするじゃないですか?そのAIは社長が作ったものなのですが、社長が死んだらそれはもうAIではないですよね?社長の死とともにAIとしての存在意義を失ってしまったわけですから。そういうことです。
病名:泡沫花病2 この病気にかかった人間はあらゆる環境に適応してしまう能力を得るが、それと同時にあらゆる植物を自由に生やすことができる。さらに自分の肉体の成長を止めることができ、外見年齢を変えることが可能になる。しかしこれらの能力を使うためには極度のストレスを受ける必要があるらしい。また、老化を止めるといってもあくまで理論上の話であって実際に止まるわけではない。また、人間の生命活動を維持する上で必要なエネルギーは消費され続ける。そのため、食事を摂取しないと餓死する可能性がある。逆に言えば食事さえしっかり摂れていれば、あとは寝てようが何しようが全く問題はない。睡眠不足による集中力の低下など、人間らしい生活を営む上ではデメリットもあるものの、それもあくまで一時的なものに過ぎない。
「私があなたを救いましょう。さあ、おいでなさい」
「私にはね、もう家族がいないんですよ。……いやぁ、お恥ずかしながら、妻に逃げられましてねえ」
「ふむ、なるほど。そういうことでしたら、是非うちへ来てください! 今ちょうど一人空き部屋ができたところでして!」
「そうですか? では遠慮なく住まわせていただきますよ」
「えぇ、もちろん。あなたのような方にこそ、この屋敷に住んでほしいんです」
「ほう、それは嬉しいですね。ではこれからよろしくお願いいたします」
「こちらこそ。ああそうだ、名前を教えていただけますかね?」
「私の名前は――」
***
「いやー、まさか本当にあの時助けた方がこんな立派な屋敷の主になるとは思いませんでしたよ」
「お久しぶりです。あの時はありがとうございました。その節は本当に助かりました」
この男は以前、道端で倒れていたところを俺が偶然見つけて拾ったのだ。それからは何かの縁ということでちょくちょく顔を合わせるようになったのだが……正直こいつのことが苦手だったりする。
だってこいつ、なんか無駄にキラキラオーラ出してるんだもん! 俺はそういう人種とはなるべく関わりたくないんだよ!