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「……?」
意味が分からず首を傾げると、ランディリックは少し考えるように視線を上げた。
「そうだな。まず、キミが勘違いしていることがひとつある」
「勘違い?」
「ああ。あの子は、ヴァン・エルダール城を目指して帰ってきたわけじゃない」
「え?」
思いも寄らない言葉に、リリアンナは目を瞬かせる。
「じゃあ、どこを目指してるの……?」
「僕のところだ」
「ランディの?」
「ああ」
ランディリックは頷いた。
「正確には、僕の持つ帰巣香を目印に帰巣している」
「はいむ……?」
「帰巣香。雪鷹を使うための魔道具のひとつだよ」
「魔道具……」
「ああ。あの子は、帰巣香に刻まれた魔力を、主人の目印として覚えているんだ」
ランディリックの説明によれば、帰巣香は、その名の通り、起動すると微かな香りを放つ魔道具なのだという。
けれど、雪鷹が遠く離れた場所から嗅覚だけを頼りに、その香りを探し出しているわけではない。
香りとともに発せられる、その魔道具固有の魔力。
雪鷹には、それを遠く離れた場所からでも感知することが出来るのだという。
「だからランディがどこにいてもランディのところへ帰ってくるのね?」
「そういうこと。僕がヴァルム要塞にいれば、あの子は要塞へ帰ってくる。ヴァン・エルダール城にいれば、城を目指す」
「すごい……」
リリアンナはもう一度、窓の外へ目を向けた。
てっきり、城や要塞の場所を覚えさせているのだと思っていた。
けれど、そうではないらしい。
雪鷹が探しているのは場所ではなく、ランディリックが持つ帰巣香なのだ。
そこで、リリアンナはふと新たな疑問を覚えた。
「でも、それなら……行きはどうするの?」
「行き?」
「帰ってくる時は、その……〝ハイムなんとか〟を探せばいいのでしょう? でも、お手紙を届ける時は?」
アレクト殿下は王都エスパハレにいる。
セレノ殿下は、距離的には王都より近いが、国境の向こう側だ。
そんな遠く離れた場所にいる相手へ、雪鷹はどうやって間違えることなく手紙を届けるのだろう。
「……ああ、宛先のことか。それにはね、もうひとつの魔道具を使うんだ」
「もうひとつ?」
「そう。香印という、宛先専用の魔道具がある」
次々に出てくる聞き慣れない言葉に、リリアンナはなかなか付いていけない。
「じーげる……、えっ、えっ?」
「ジーゲルマルク。帰巣香が帰る場所を示すものなら、香印は届け先を示すものだと思えばいい」
香印もまた、帰巣香と同じく、雪鷹のために作られた魔道具なのだという。
ひとつの帰巣香に対し、異なる魔力を刻んだ香印をいくつも紐付けることが出来る。
そして、それぞれの香印は同じ魔力を刻んだものが一対になっていた。
#兄弟パロ
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ひより
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コメント
2件
雪鷹、見てみたい!
うわ、すごい…! 魔道具の仕組みがめっちゃ細かくて、世界観がどんどん深まってる感じがたまらないです✨ リリアンナが「えっえっ?」ってなるの、私も一緒になって首傾げちゃいました(笑) ランディリックの説明が丁寧だから、納得しながら読めるのがいいなあ。雪鷹が場所じゃなくて「人」を目印にしてるって、なんだかロマンチックでほっこりしました🥀