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「たとえば、アレクト殿下へ書簡を届ける時は、殿下へお渡ししてあるものと対になる香印を使う」
「どうやって?」
「こうして近くへ置いて起動してやればいい。すると香りとともに、その香印に刻まれた魔力を雪鷹が覚える」
「それと同じ魔力を探して飛んでいくのね?」
「そういうことだ」
リリアンナはぱっと顔を明るくした。
「じゃあ、アレクト殿下も香印を持っているの?」
「ああ。僕の雪鷹専用のものを、王都でお持ちいただいている」
「セレノ殿下も?」
「持っているよ。もちろん、アレクト殿下とは異なる魔力を刻んだものをね」
だから、届けたい相手によって使う香印を変えればいい。
アレクトへ届けたい時は、アレクトへ預けたものと対になる香印を。
セレノへ届けたい時は、セレノへ預けたものと対になる香印を。
そうして送り出された雪鷹は、指定された魔力を持つ香印を目指して書簡を届ける。
そして相手からの返書を託されれば、今度は主人であるランディリックの帰巣香を感知して帰ってくるのだ。
「だから、あの子は行ったり来たりしていたのね……」
「ああ。正確には、僕が送り出した子が、届け先から返事を持って帰ってきているんだ」
「でも、王都までってすごく遠いでしょう?」
「人ならね」
ランディリックが小さく笑う。
「列車や早馬で運べば、書簡ひとつ届けるにも何日も掛かる。実際アレクト殿下へ僕の持っていた香印を届けるのには結構な日数を要したしね」
「……」
「だが、雪鷹なら半日もあれば届けられる」
「半日……!」
思わず声を上げる。
だから、あれほど頻繁に書簡をやり取り出来ていたのだ。
リリアンナが知らない間にも、ランディリックは王都のアレクトと、国境の向こうにいるセレノとの間で、何度も雪鷹を飛ばしていた。
「じゃあ、今帰ってきたのって……」
リリアンナは、雪鷹が消えていった方角を見つめた。
「ランディが出したお手紙のお返事を持って帰ってきたの?」
「ああ」
ランディリックはそう答えると、窓の外へ視線を向けた。
「あの子を送り出したのは昨日の夕刻だ。アレクト殿下へ書簡を届けてもらった」
「じゃあ、今のは……」
「ああ。おそらく殿下からの返書だろう」
常ならば、列車や早馬を使って何日もかかる距離を、雪鷹はわずか一日で往復してしまう。
「そんなに早く……」
「だから、重宝しているんだよ」
そう言って、ランディリックは窓の外へ視線を戻した。
ほどなくして、扉が控えめに叩かれる。
「旦那様。アレクト殿下より返書が届いております」
セドリックの声だった。
#兄弟パロ
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コメント
2件
幻想的だー!
ああ、なるほど!雪鷹シュネファルケの仕組み、こういうことだったんですね。半日で王都を往復できるってすごい…!リリアンナが「半日…!」って声を上げるシーン、私も一緒に驚きました。ランディリックが密かにやり取りしていた背景も見えた気がして、世界観がぐっと広がる回でした。鷹槻れんさん、ありがとうございます!