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「仁人!」
「あ、太智!ほんとに来てくれたんだ…」
「え!?なに嘘やと思ったん!?俺が仁人に嘘つくわけなくない!?」
あの日から一週間。俺は再びあの場所へ仁人の歌を聞きに訪れていた。少し早く着きすぎたかな~なんて思ってたけど仁人は約束の時間前に来るタイプのようでギターを抱えてスマホをいじっていた。
「いやぁ、その場のノリで約束してこないってことがまあまああって…太智もそのタイプかなぁって」
「仁人は俺のことどう思ってるの!?そんなことしないよ!?約束は守るし!!」
「あははっ!ごめんごめん!お詫びじゃないけど曲、太智の好きな曲歌うよ。なにがいい?」
「え?!ほんとに!?うーん…それなら●●って弾ける?」
「●●ね…うん、いける。…じゃあ弾きます」
そうしてアコギの優しい音と仁人の少しハスキーな声が紡いでいく音楽はスッと俺の耳に入ってきて心地が良い。仁人が歌い終わった後も余韻が身体を駆け巡る。
「すごい…すごいよ仁人!!この曲むずいのに!」
「ありがと。メジャーな曲は練習してるから太智のお気に召してよかった」
「ねえ!次もリクエストしていい?」
「勿論。太智しかお客さんいないし」
「…ほんと勿体ないよ。仁人こんなにすごいのに…そうだ!仁人の歌ってるとこ撮影してもいい?俺の仕事仲間に見せたい!」
「えっ、それは…」
「無理にとは言わんけど仁人の歌はこんなにすごいんだぞー!って俺は自慢したい。勿論SNSとかには上げんよ。身内だけ」
「……それなら。ははっ、今まで撮られるなんてなかったから緊張するわ」
「大丈夫!仁人はいつでもカッコいい!」
「それ関係ねえだろ。…じゃあ弾くから」
それから数曲引いてもらい、次の約束をしてさよならをする。
俺は自分のスマホに保存された仁人の歌を聞きながらいつもより軽い足で自宅に戻った。
(いつでも仁人の歌聴けるの嬉しい……でも、皆に聞かせるの嫌だなぁ…)
「いやいや!何言ってんだ。仁人に感想伝えるって言ったんだから!皆きっと驚くぞ」
俺は勢いよくベッドにダイブすると胸に少しのモヤモヤを抱えたまま眠りについた。