どうも皆様、サカナです
本日はスイスの建国記念日ですね
スイスといえば国際連盟とかリヒテンシュタインとか色々ありますけど、やっぱり永世中立国の印象が強いと思います
個人的に好きなエピソードは、国民皆兵で各家庭に銃があるって聞いたことですね
爆笑しました
てわけで、私生活もガードが硬い(物理)スイスさんとドイツの取引を目撃したベルギーちゃんのお話です
スイスは不思議な国だ。
EUには所属せず、永世中立で世界大戦にも参加しなかった。
何かを決める時は国民投票を行ったり、リヒテンシュタインを守ったり、 国連と同じように平和主義なのかと思えばそうでもなく、武力による解決も 多々ある。
ベルギーは不思議に思っていた。
隙も容赦もないスイスは、一体どのような人物なのだろう、と。
好きなものは?嫌いなものは?苦手なことは?趣味は?
ベルギーは私服すら見たことがない。
色々な時代を生きてきたとはいえ、ベルギーは好奇心旺盛な子どもと変わりなく、スイスについて知りたくなった。
ちょうど明日、ヨーロッパ州で会議がある。
そこからスイスの後を尾けて、調査してみよう。
国連「あと1人ですね…もう会議の時間なのに…」
EU「イタリアだからねぇ。パパ、なんか知らない? 」
ドイツ「今日は自分で起きるとか言ってたが…結局ダメだったみたいだな…今バチカンとサンマリノに連絡したから、あと1時間以内には来れるはずだ」
国連「わかりました。ありがとうございます、ドイツ連邦共和国」
いつも通り遅刻したイタリアを待つため、みんなそれぞれ席に着く。
常任理事国とか国際組織とか、重要な国は決まった場所に座るけれど、ベルギーやスイスなどのそれ以外の国は自由席になっている。
スイスはドイツに1番近い場所に座っていたので、斜め左前くらいの位置に座る。
ここならスイスの観察もしやすいだろう。
既に来ている国はイタリアが来て会議が始まるまで、近くの国と話して待つことが多い。
だがスイスは誰と話すわけでもなく、ただ事前に配られている資料を見つめていた。
シワひとつない衣裳に身を包んで、あのドイツも会議前に少し見るくらいの資料を、あんなに真面目に読む国がいる。
ベルギーはその珍しさに、まじまじと見つめた。
スイス「…?」
ベルギー「!?」
視線に気がついたのか、スイスは首を傾げてベルギーの方を向く。
慌てて目線をずらし、隣にいたルクセンブルクに声をかけた。
ベルギー(ふぅ、危ないところだった…)
ルクセンブルクと話をしつつ、ベルギーはチラチラとスイスの方を見る。
まさか気づかれるとは思っていなかったが、首を傾げる動作は、見た目的に年相応だった気がした。
イタリア「ごめんなんねー!寝坊しちゃったんよー!!」
ドイツ「遅いぞイタリア。早く座れ」
イタリア「はーい!」
国連「それでは、これより第n回目のヨーロッパ州による会議を始めます。今回の議題はこちらです」
EU「今回はロシアのウクライナ侵攻について現状のまとめと、そこからどう解決するかを議論したいと思ってる。今回はロシアとウクライナ以外のヨーロッパが集まっているけど、次回はみんな揃って会議できるように、平和を守るために、しっかり考えていこう」
ドイツ「では、ここからは俺が進行を務める。まず現在の戦況は…」
そんな真面目な会議では、いつも賑やかな欧州も静まり返り、案が出るたびに賛成と反対の声が飛び交う。
結局は後に行われる常任理事国会議での一声で決まるようなものだから、考えつき次第とにかく言ってみる。
でも、常任理事国は主義が違いすぎて、意見がまとまったことなんてないし、採決されることも滅多やたらに とはいかない。
重要な世界の問題なのは確かでも、結局は自国を優先しないと生き残れないというのは、この世のちょっとした残念ポイントだ。
今回の議題はロシア・ウクライナ戦争…つまり、永世中立国であるスイスが怒った出来事。
心なしか、スイスの顔が少し怖くなっている。
さて、そんな堅苦しい会議も終わりを告げた。
スイスはペンや資料を片付け、ドイツに声をかけている。
何を話しているかは聞き取れないが、なにやら真面目な雰囲気だ。
そのうち2人は会話を終え、並んで会議室を出て行った。
兄2人には1人で帰ることを伝えているので、後は尾いて行くだけ。
ベルギー「よーし…尾行開始だっ!」
小さく声をあげて、ベルギーは慎重に行動するのだった。
一方で、真面目な雰囲気を醸し出すスイスとドイツはこんな会話をしている。
スイス「いつもすみません…お店で買ったりすると、どうしても人が気になってしまって…」
ドイツ「別に構わないさ。スイスは強いからな、気配に敏感になるのもわかる。普段関わりが少ないから、こういうところで仲良くなれて嬉しいよ」
スイス「こちらこそ。EUに入るつもりはありませんが、ドイツと仲良くなれたことはとても喜ばしいと思っていますよ」
何か小さなバッグを持ち歩きながら、スイスとドイツは外へ出て、そのまま誰もいない建物の裏へと足を運んだ。
ベルギーは静かに後を尾け、2人の後に続いて建物の裏へ。
隠れて覗いていると、とんでもない光景が目に入った。
ドイツ「では、約束のものだ。ほら、ーーーーーー」
スイス「わ…✨今回もまたありがとーーーーます。代金と、毎回ーーーーーしてくださるーーーとしてこちらを。もし要らなければーーーくださー。それなりのーーーにはなるーーーー」
ドイツ「いやいー、むしろーーー高いものいいのか?ーーーーなら貰ってーーが…ありがとう、スイス」
2人は小さなバッグと、腕時計を交換している。
あのバッグの中身はなんだろう?
もう少し会話に聞こうと足を進めたら、ちょうど小枝を踏んでしまった。
パキッと小さな音が鳴り、同時に2人の視線を集めている。
「「「あ」」」
お説教タイムの始まりである。
ベルギー「そんなに怒んなくてもいいじゃん…」
ドイツ「まあまあ…スイスもびっくりしたんだよ、自分の好きなものがバレたから」
スイス「い、言わないでください…」
こってり絞られたベルギーはしょぼんとなり、座り込む。
整備されたコンクリートなので、服はあまり汚れていない。
スイス「こほんっ!…とにかく、このことは内密にお願いしますね」
若干赤くなった顔を逸らし、スイスは目線だけを寄越してそう言った。
その手にはドイツから受け取っていたバッグを しっかり持っている。
ベルギー「それは別にいいけど…中身は何なの?ま、まさか薬…」
ドイツ「違うぞ?!」
ベルギー「え、でもわざわざ隠れて取引してたし…すっごく怪しいよ〜?」
調子を取り戻したベルギーはスイスの周りをくるくる歩き、バッグを見つめた。
ベルギー「これ何が入ってるの?ねえねえ、教えて?」
お次はドイツの元へ歩いて、上目遣いに頼んでみる。
うるうると瞳を潤ませ、鈴のような声を出す。
ドイツは困惑してスイスを見つめるが、スイスも何もできないまま困っている。
ベルギー「んー…教えてくれないなら予想するよ!新しい武器とか?」
ドイツ「…いや、違う。そんな危ないものじゃない」
ベルギー「じゃあ…なんかの機械?ドイツは技術大国だもんね」
ドイツ「それも違う。あー…もっと個人的なものだ」
スイスは困り顔のままその様子を眺め、何か言おうとしてはやめてを繰り返す。
自分のことを晒すのは苦手なので、どう言えばいいのかよくわからないのだ。
ドイツは諦めてもらおうと曖昧な言い方をしつつ、誤解を与えない範囲で否定する。
しかしベルギーとしては楽しくなってきているので、諦めるつもりは全くない。
そのループを繰り返していれば、そろそろ答えも見えてくるわけで。
ベルギー「…チョコとか?」
ドイツ「…スイス…」
スイス「わかってます…自分で言います… 」
眉を下げてバッグを持ち上げると、スイスは中身を見せた。
ベルギー「めちゃくちゃ大量…」
スイス「わ、私甘いものが好きなので…特にチョコレートとか…でも、お店で買うと知り合いに見られていないかとか、気配の多さに緊張してしまって…」
ドイツ「だから、俺が代理で会議の前に買い貯めて、終わった後に渡してたんだ」
ベルギー「なるほどね〜。スイスもかわいいとこあるじゃん」
スイス「だから知られたくなかったんですよ…」
ドイツ「いいじゃないか。ベルギーもチョコは好きだしな」
ベルギー「うん!」
真面目で隙のないスイスにも、好きなものや知られたくないことがある。
ちゃんと人間味があって良かったと思うと同時に、もっと仲良くなろうと思ったベルギー。
その後、ベルギーは会議のたびにチョコレートやワッフルを持って行って、みんなに隠れてスイスへ与えるようになるのだった。
コメント
3件
スイス、かわ、、、良い、、! 尊いなぁ
投稿1分で見れたの奇跡うれしー