テラーノベル
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伝えなければいけない。
無意味だとしても。
自分の存在意味のために。
『私たちはそのような力を持っていない』
『化身達も災害によるダメージを受けている』
『私たちはあなた方を恨んでなどいない』
命がけで、今日も必死にそう伝える。
耳を傾けるものがいなくても、私たちは伝えなくてはいけない。
私たちの多くは飛べる。
伝えて、逃げて、話して、逃げての繰り返し
できる限りの化身を匿いつつ、私にできることを精一杯やる。
弱音を吐いてはいけない。吐いたところで、変わらないのだから。
今日も、後輩を連れていつも通りに人々の前で話す。
捕まりそうになったら、すぐに逃げる。
でも今日は、違かった。
パシュッ
その音と同時に右腕に走る激痛
突然の出来事に手の力が、
ッ耐えろ、この手を離してはいけない。
飛べない後輩を支えてるこの手を。
絶対に離すな。何があっても。
右足、脇腹、右羽
一度当たって速度が落ちたところに、次々と銃弾が飛んでくる。
化身でよかった。
じゃなかったらとっくにもう…
真っ白のスーツが赤く染まっていく。
何を思ったのか
突然後輩が私のことを蹴り飛ばして
そのまま地面に落ちて行った。
確かに一人で飛んだ方が速いし、逃げ切れる。
それにこれのリーダー的な役割は私が担っている。
ここで2人共倒れになるよりはよっぽどいい。
きっとあの子は、そう思って私を先に逃がしたんだろう。
……
もう、もう疲れたよ
なんで大切な人を失ってまで、こんなことをしないといけないの?
僕はどうしたらいいの…?
どうすれば、よかったの?
なにが一番いい選択なの?
どこで間違えたの!?
………もう、なにもわからない…
考えたく、ないよ…
…
こんな、ことなら
人間なんて、みんな消えちゃえばいいのに。
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