テラーノベル
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運がよかったのか
悪かったのか
誰が決めるの?
自分で決めな。
どうして
どうして生き残ったの?
…みんなの変わり果てた姿。
思い出すのは、なんの変哲もない…みんなで笑って、バカ騒ぎしていたあの日常で。
…別に、これはいつか訪れることだったから。
辛いけど、覚悟はしていた。
でも
「こっちにはいなかった」
「そっちの方か?」
「いや、まだ近くにいるんじゃないか」
「…ここで時間食ってもしょうがない、他の所に行こう」
「念のため一発撃つ?びびって物音くらいはするんじゃね?」
「お前天才かよ」
「…いないっぽいな」
「お前本当はただ撃ちたいだけだろ」
「あ、バレたか」
「お前なぁ…」
遠ざかっていく足音。
…もう、大丈夫かな
「…っ、」
『大丈夫、もう大丈夫だから』
ずっと隣で怯えて震え続けていた、大切な仲間を抱きしめる。
小さな体で、ずっと一人でこれに耐え続けていたんだよな…
この状況、あの音が一番苦手なのに。
「あ、いた」
一瞬だった。
咄嗟に引き寄せて
覆いかぶさるようにして
息ができない。
肺からゴロゴロと音がする。
力が入らない
でも、君だけは
なんとか、本当になんとか立ち上がる
耳鳴りがひどい。ぐらぐらする。
口の中に鉄の味が広がって溢れる。
“にげて”
声が出ない
でも伝えなきゃ
逃げて。俺の事はいいから逃げて。
いつ崩れ落ちるかわからない体を銃で支える
お願い。逃げて。
……伝わったのか、君はこちらに背を向け走り出した。
「あ!!逃げたぞ_」
「ぅあぁあ”ぁ”ぁ”あ”ぁ”ッ!?!?」
「ちょ、大丈夫かよお前!」
絶対に
絶対に通さない。
ここから先は絶対に。
人間は俺らみたいにすぐ治るわけじゃない。
心臓を打ち抜けばいいだけ。
なんだ、簡単じゃん。
まだ少しふらつく
肺も痛い。銃弾が入ってるあたりが凄く痛い。
足にしっかりと力が入らない。
それでもやらなきゃ。
156年前の記憶を呼び起こせ。
大丈夫、やれる。
相手はただの人間だ。
…みんなのもとに、戻れないなぁ。
でもこれで、一人でも守れるのなら
俺は喜んでこの手を汚そう。
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