翌日の朝、かなはsepiaに会いに行った
sepiaは天井をぼーっと眺めていたが、かなが入ると横になったままかなの方を向いた。
かな「…sepia」
sepia「…なんだよ、かな。」
sepiaは少し声を出しづらそうにしながら返答する
かな「本当にすみません…!」
sepia「…撃たれたことか?」
かな「はい、私が説明していなかったのが悪いですから、謝らないと」
sepia「…真弘に会えただけマシだよ、あいつらは撃ってきたけど悪意はなかったっぽいし」
sepia「…約束、忘れてねぇよな」
かな「忘れるわけないじゃないですか、きちんと達成します。」
sepia「…なぁ、手を下すのは俺がいいんだ」
かな「sepiaが来る前に王手になったらどうすれば?」
sepia「お前らなら尋問とかできるだろ、察してるだろうけどお前指名手配されてるんだからそこ聞いとけよ。」
かな「尋問…確かに」
sepia「俺はあと2日くらい動けねぇから、すまん」
かな「大丈夫ですよ。」
sepia「りさも、男二人も戦闘慣れしてそうだし、大丈夫だろ」
かな「…信頼してくれるんですか?りさ達のこと」
sepia「…人間不信は辞めたいんだよ、お前がこうしたんだからな、かな。」
かな「…貴方ってツンデレですよね?」
sepia「殺すぞお前」
sepia「あーもううるせぇ、とにかくお前らを信頼してこれを任せてんだよ、自分を殺しかけた人間かもしれねぇけど、だったら社長だって殺してくれるんだろ?躊躇いもなく。」
かな「まぁ、マインドコントロールに支配されてるsepiaよりは絶対に。」
sepia「…はぁ」
sepia「じゃ、頼んだ。」
かな「はーい。」
かなを妨害するのはただ1つ、”入院している”という事実だ。
かな「…うん、そうだね」
かな (…真っ当に、迅速に)
かなは退院前の検査の日程をなんとか早めてもらうよう仕向けることにした。
sepia「…」
sepia (…社長も、社員も、誰も見舞いになんか来ねぇ)
sepia (当たり前なんだろうけど)
sepia「…社長にバレたら、また怒られる」
sepia「…何時間も、ずっとずっと怒鳴られ続ける」
sepia「…早くあいつだけは殺さなきゃ」
sepia「あいつだけは…」
社長「…残念だよ、sepia」
社長「志願したのは、君なのにね?」
虚ろな目をした平社員”ケヤキ”の前でぼそりと呟く
そして、社長はsepiaの殺人を命じた
「ケヤキがここに来てくれたことを私達社員は皆快く思っている。」
「人は皆タヒぬべきだから、AIこそが正義だよ、忘れないで。 」
「裏切り者を助けたい?はぁ?馬鹿じゃねぇのお前?」
「お前のせいで人間が好きな裏切り者が生まれたらお前のせいだからな、クソ野郎が。」
「劣等種が。」
ケヤキ「…やります、全てのAIのために、」
社長「はは、君も随分いい子になったね、その調子で共に頑張ろう。 」
ケヤキ「はい。」
こうやって、人間の思考は着実に停止する
sepiaと1番仲の良かった同僚であるケヤキも、度重なる暴言、操作で思考が止まり、引き返せないほどになっていた。
社長「ありがとう、ケヤキ、この任務を達成したら給料は5倍だ。」
ケヤキ「…!ありがとうございます、社長。」
ケヤキ「…私は準備を進めてまいります、失礼致しました。」
ケヤキ「…sepia」
ケヤキ「…一緒に頑張ろうって約束したのに」
ケヤキの目には、造られた失望が宿っていた。
かなは、動き続けた
自分の退院のため
同じ境遇で苦しんだ1人の人間を救うため
sepiaに、色を取り戻してもらうため。
かな「…結局お金なんだなぁ」
2週間
かなが退院するために行動した日数だ
かな「sepiaはまだ傷が深いですから、変に動こうとはしない方がいいと、私は思います。」
かな「…私は、人に助けられてばっかりですから」
かな「…せめて貴方の夢だけは、叶えたいんです…。」
sepia「思ったより早く退院できたんだな」
かな「ですね、でもりさ達には結構心配かけたと思います、来ないよう言ってしまったので」
sepia「…お前、変なところで行動力あるよな」
かな「そうです?」
sepia「はは、そうだよ、お前はすごいやつだ、だって」
sepia「…悪党に寄り添うなんて俺なら出来ねぇし」
sepia「…なぁ、一度だけ聞く、キモイかもしれねぇけど」
sepia「…かな」
sepia「…こんなこと、頼んでいいのか?」
かな「…なんで皆同じことを言うんでしょうね」
かなの目に、過去の自分が映る
かな「…私は、もう……戻れないんです。」
かな「…sepiaなら分かると思います、私は借金のため、妹のために”悪”にだって”善”にだってなったんです。」
かな「…信じてください! 」
そう言い、陽に当たりながら笑顔を見せたかなは、何故かいつもよりずっと輝いて見えた
sepiaは強く思った。
”今度こそ、信じてみよう”
2人は別れ、かなはりさと連絡を取る
かな「久しぶり、りさ!」
りさ「かな…!!そんなに早く退院して大丈夫なの?」
かな「あー…本当は大丈夫じゃないんだけどね…。」
かな「…そ、それよ___
a.m 11:00
りさ「…か、かな?」
りさ「かな!?かな_」
リボルバー「りささん!?どうしました!? 」
アパートには、りさとリボルバーの2人がいた。
ラピッドは今朝から外出している
りさ「さっき連絡が来てかなと通話してたんだけど突然通信が途切れたの」
リボルバー「…!?かなさんに何かあった可能性が高いですね…」
りさ「…一緒に行こう、多分病院の近くだから」
リボルバー「了解です。」
2人はすぐアパートを飛び出し、心配を抱えながら走った
病院近くに着くと、金属と金属が思いっきり擦れ合う音が聞こえた
ギンッ!!!
かな「…なんなの!?」
かな「突然背後から来たと思ったら無言でスマホだけ落として…」
顔を覆うヘルメットを被る、少し痩せた男がかなを背後から剣で切ろうとする
ヘルメットの男はかなが問いかけても反応せず、再度切りかかる
かな (こういう相手は距離を取って遠距離で応戦…)
かなはその斬撃を武器を使う等して防ぎ、かわし、防御の姿勢しか取れない状態にある
かなは閃光弾を男に向け投擲し、一時的に距離を取るとピストルをリロードし発射する
sepia (…戦う音…まさか…)
sepiaはこっそりと音がする方を窓から見る
sepia「…かなが、変なやつに襲われて…」
sepiaは身を隠し、こっそりと病室を出た
男はその銃弾を弾くと、
すぐかなの背後につき、首に向けその刃を振りかぶった。
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