そこで私は目が覚めた。こんな私がクラスを、他のみんなを守れたのは嬉しい。しかし悪人だったとはいえ、人を撃ち抜いてしまったことに対しての罪悪感…それともう一つ言葉に表せないモヤモヤとした奇妙な感情が湧き、申し訳ないという気持ちと、まだあの話は終わっていないのではないかという気持ちになった。そして、たしかにあれは夢だったはずなのに夢じゃないみたいに思えた。しかし、もう見たくないものだ…あんな奇妙な夢。
七月二十六日月曜日、学習机の上のデジタル時計を見ると午前七時三十二分を廻っていた。しまった、寝坊した。私は急いで支度をし、家を出たときには八時になってしまった。
遅刻ギリギリで学校に着くと、あることに違和感を感じた。いつもはどこのクラスよりも明るい話し声が聞こえる私のクラスだが、今日はなんだか静かだった。何かあったのかと友達に尋ねるが、首を横に振るばかり。すると、いつもクラスのムードメーカーである男子が、思い切って話した。
「なぁ、俺が昨日見た夢…すごく怖かったんだ。先生がいきなりおかしくなってピストル向けてきたりさ、起きるちょっと前に一人のおさげの女の子がなんかよく分からないこと話してたりとかさ…。」
その瞬間、クラス皆が強ばった表情になった。
「え…その夢、俺も見た。」
「私も…。」
え?クラス皆が同じ夢を見ているのか?しかし私の夢にはおさげの女の子なんか出てきていない。私だけ少し違うのか?いや、私だけとは限らないかもしれない。試しに聞いてみよう。
「私の夢にはおさげの女の子なんか出てこなかった。私以外の人の夢には出てきたの?」
クラスを見渡すと全員が頷く。
どういうことだ?私が夢から覚めるのが早かっただけなのか?いや、そんなことは無いはず。なぜなら今日私は寝坊したからだ。じゃあなんで私だけ?
そんなことを考えていると、教室の扉がガラッと音を立てて開いた。
「皆さんおはようございます。今日は皆さんに大切なお話があります。」
皆ゴクリと唾を飲み込んだ。
To be continued…