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視点 🧣
現世の朝は、やたらと静かだ。
波もない。 風もない。荒れた大地や輝く森も。
それでも、確かに目覚めだけがある。
「……あー」
俺は床に転がったまま、天井を見つめる。
「今日、なにする?」
返事はない。
というか、もう嫌な予感しかしない。
「……おーい」
視線を横にやると――
みどりはソロプレイゲームを黙々とやってるし、
きょーさんは庭先で翼の手入れ、
レウさんは台所でお昼を作り、
コンちゃんは庭で変な使い魔と戯れていた。
「……」
全員、好き勝手すぎる。
「ちょっと待って、俺だけ暇じゃない?」
「ラッダァガ暇ナノ、珍シイ」
「失礼だなお前」
レウさんが鍋をかき混ぜながら、くすっと笑った。
「平和、ってことじゃない?」
「……あー」
言われてみれば、そうだ。
誰も追ってこない。
誰も裁かれない。
誰も命令しない。
少なくとも、今は。
みどりがゲームを斬り上げ外へ行った。
あのみどりが珍しいな。
そう思い、あとつけることにした。
あとをつけていった先は暗い森。
そこの木に呪術の練習をしていた。
「みどり、呪術の練習してたんだ。」
いつも辛辣でも仲間思いだな。
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昼。
やっときょーさんは翼の手入れが終わったのか、中へ戻ってきた。
「あ?らっだぁ暇なん?」
「……朝からずっと〜」
やっと暇つぶしができると思ったら………
「暇ならあれやってろ」
きょーさんが指差す先は……コンちゃんが持ってきた海妖族の書類。
「また整理?もーやだ!」
年甲斐もなく騒ぐときょーさんは
じゃええわ。
とそれだけ言い、また外へ出て飛んでいってしまった。
次はきょーさんのあとをつけるか。
魔法で箒をだし、その上へ乗る。
ほんとはこんな疲れることしたくないが、暇を潰すには絶好のチャンスだ。
程なくして、俺ときょーさんが出会った聖堂についた。
そこできょーさんは壊れた聖堂を建て直していた。
また面倒な仕事が来ると思い急いで家へかえる。
家でレウさんにこの話をすると、
「あぁ、3日前ぐらいからやり始めた。
なんからっだぁの宗教作るらしいよ。」
第三勢力、5人だけじゃ辛いだろうし。
そう言いながら夜ご飯の準備をするレウさん。
「なんも考えてないの俺だけか?」
なんだかんだ言って俺に甘いよな。
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午後3時。
「レウママ〜おやつ!」
「ママじゃありません!」
そんなコントをしながら戸棚からチップス菓子を取り出しくれる。
「ちょっと俺でかけてくるね」
「何処行くの?」
「ん〜、秘密かな」
これは怪しい。
第三勢力隊長のこの俺、らっだぁが仲間の異変に気づけなくてどうする?
ということでレウさんの後をつけることにした。
ついていった先は幻夢界のその先、魔界の要塞だった。
「シロちゃんクロくん!こんにちは!」
「「こんにちは!」」
ガストの子供がレウさんに挨拶をしていた。
こんなとこに子供だけで大丈夫なのか?と思っていたら奥から母親らしき人物が。
「あら、レウクラウドさん!こんにちは。いつもお世話になってます」
「あぁ!ママガストさん!こちらこそ!いつもパパガストさんにはお世話になっていて………」
知り合いらしく話し込んでしまった。
これじゃ暇つぶし……まちがえた、怪しい点は見られないということで帰るか。
「レウクラウドさん!俺等を助けてくれてありがとう!」
「レウクラウドさん、擬人体の私達にも優しくしてくれてありがとうございます!」
やっぱり誰よりも心優しいなぁ
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コンちゃんは、外で日向に座っていた。
「外暑くないの?干からびちゃうよ?ってか何その使い魔!いつの間に?!」
「いやぁ、さっき餌あげたら懐かれちゃってさ」
コンちゃんが空を見上げる。
「ここって静かでいいねぇ」
目の下の隈は、まだ消えていない。
でも、前より薄い。
「働きすぎるなよ?」
「誰に言ってるの?」
「未来の俺ら」
コンちゃんが、肩をすくめた。
「でも、リーダーがらっだぁなら働きすぎも悪くないかもね」
風が吹いて、庭の木が揺れる。
「……追っ手、来なくて良かったな」
「あぁ海妖族は現世に来る手段まだないからね」
「えまじ?!」
新事実に驚いたがコンちゃんの話を聞く。
「壊す側が静かだと、向こうは余計に警戒するでしょ?」
「それに休息がないと壊せるものも壊せないいしさ」
お前、色々大変なのに仕事をしてくれるよな
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夕方。
全員で、簡単な食事。
豪華じゃない。 でも、誰も急かさない。
「コンちゃん、味どう?」
「普通に美味しいよ」
「コンタミ、コレアゲル」
「どりみー野菜食べないと強くなれんで?」
笑い声が、部屋に落ちる。
ふと、思う。
この光景は、
どの種族の正しさにも当てはまらない。
だから、
どこにも属さない。
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夜。
外に出ると、現世の空が広がっている。
相変わらず空はずっと雲で覆われていて。
ところどころ見える空は鮮血の如く赤い。
「なぁ」
俺は、何気なく言った。
「俺ら、変な集団だよな」
「今更か?」
「否定デキナイ」
「そうだね」
「でも」
レウさんが、空を見上げる。
「ここにいる間は、誰も壊さなくていい」
一瞬の沈黙。
俺は、笑った。
「……それ、最高じゃん」
コンちゃんが、小さく頷く。
「選ばなくていい時間も、貴重だね」
「明日も、平和だといいな」
みどりが蹴りながら言う。
「フラグ立テルナ」
「痛い痛い!」
全員で笑った。
その夜。
世界は、まだ壊れていない。
でも、
確実に――
壊される準備は、整っていた。
第三勢力は、今夜も眠る。
静かな、
嵐の前で。
――チャプター1・完
――チャプター2へ続く