風とお酒
頬を優しく撫でるような風…
モンドの夜、
たまに頬を撫でるような優しい風が吹く
普段の風もとても心地よいけど
その風はふんわりと花びらも一緒に
連れてきて、とても美しく、心地よいのだ。
月が綺麗に見える場所で私はよく
お酒を嗜んでいる。
そんなときも風がふわりと私の周りを
静かに舞うのだ
でも、そうだよね。この国を治める神は
風神様なんだもん…と、静かに思う。
だからなんだろうな、
こんなに美しく心地よい風が吹くのは。
家に戻り、寝具に横たわる。
瞼を閉じたら何も見えないが、
外から聞こえる風の音が心地よく、安心する
私は気づいたら眠っていた。
昼過ぎ、ライアーの綺麗な音色で目が覚める
窓から覗き、外を見ると、
三つ編みの少年がライアーで詩を語っていた
周りには多くの人が集まり、
真剣な眼差しで少年が語る詩を聞いている。
私も思わずその詩に夢中になっていた
少年が語り終わり、
立ち去ろうと歩き出していた
その姿を見て、気づいたら
感想を伝えようと思い外に走っていた
何を言うかも考えてない。
ただ、何を感じたかを全部伝えようとした
なぜか、伝えなければ行けない気がしたんだ
そんな私の馬鹿みたいな感想を
少年はしっかりと最後まで聞いてくれた。
話し終えて、我に返った。
すみません。
馬鹿みたいな感想をがむしゃらに話し続けたことへの謝罪。
少年は少し微笑んで、
付いてきて と、私の手を引く。
手を引かれ、着いたのは酒場。
ここは、と私が質問する前に少年は言った
お酒を共に飲まないか、 と。
まだ私は起きたばかり
と言う私の言葉を気にせずに、
目の前の少年は生き生きとしてお酒を頼む。
バーでお酒を飲むのは初めてだった
お酒を飲んで酔っ払っている人が苦手だから
いつもはお酒を1人で飲む。
少し不安そうな私の元にお酒が運ばれた。
少年は1口、ぐびっとお酒を飲んだ
それを見て、私もお酒を口に運んだ
おいしい!
そう、素直に思った。
1人で飲むお酒しか知らなかったから
人と共に飲むお酒の美味しさに
私は、気づいていなかったみたい。
そのことを嬉々として少年に話す。
そしたら少年は不思議そうな顔をして
1人で飲む、?それは違うんじゃないかい?
君がお酒を飲んでいるとき、
ボクは君の傍でしっかりと見守っていたよ
?
何を言っているんだ、この人
私は誰かと一緒にお酒を飲んだことないし
外で飲んだ時も周りに人はいなかったはず…
あぁ、
…ぜんぶ、分かった。
ひとつ聞いても?
あなたの名前は…、
名乗るなら自分からだろう?
と言いたいけど…
実は、君の名前はもう知っているんだ
ボクは吟遊詩人、ウェンティ。
君達が信仰している、風神バルバトス様だよ
…驚いた。こんな身近に神様がいるなんて。
でも、それよりも、私が言いたいのは
私をずっと見守って下さっていたのは
あなただったのですね、風神 バルバトス様
私は貴方の従順なる信者
何とでもお申し付けください
そんなにかしこまらなくてもいいよ。
でも、そうだね…
いまは、リンゴ酒が飲みたい。
サブタイトル
神と信者
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